晴耕雨マンガ

12月は、六道の悪女たち、ジョジョリオン、ゴールデンカムイ。

椿荘101号室 1~2巻の感想


椿荘101号室(1) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)椿荘101号室(1) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)
(2013/05/14)
ウラモトユウコ

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面白アパートマンガ『椿荘101号室』の感想です。
WebコミックEDENで12年6月より配信開始。単行本1巻が昨年5月に、2巻が先日発売されました。


・Number 0 プロローグ
同棲相手のタカシさんから別れ話を切り出された主人公の春子は、みそ汁をブッかけた勢いそのままに部屋を飛び出してしまう。ただ、生活のほとんどを相手に頼りっぱなしだったので手持ちの金がほとんどなく、飛び込んだ不動産屋から作品の舞台となる『椿荘』を紹介される。ここから、案内のメモに従って春子が椿荘を目指す1ページのテンポの良さが最高。

・Number 1 102 磯谷さん
部屋とトイレは共同。風呂はなく、カギは南京錠。部屋は3畳で押入れもない。あまりの環境のヒドさに戸惑う春子に、となりの部屋の住人・磯谷さんが優しく声をかけてくるが……。まずは住人の紹介エピソードが続くのだが、トップバッターでこのキャラの濃さ。「だって訊かれてなかったもん」って、便利な言葉だな。

・Number 2 鈴子ちゃん
春子の友人の鈴子ちゃんが登場。春子の今後の生活に対する、楽観的を通り越した見通しの甘さを叱る。しかし、春子は主人公にあるまじきダメさ。椿荘のほかの住人達は変わり者でもシッカリと自分の考えやポリシーを持っているだけに、それが余計に際立つ。まぁ、ここからどう成長して椿荘から出ていくのか? というのがテーマにあるんだろうけど。

・Number 3 103 加納さん
銭湯帰りの春子に磯谷さんが、部屋を丸ごと全部お風呂にしている加納さんを紹介する(改装をしたのは磯谷さん)。その美の知識をもって、春子の体を磨いていく。なんとなく一発ネタのような雰囲気があったけど、意外と後の話でも美容スキルがストーリー内で無理なく生かされているあたりは、作者の構成の上手さだと思う。

・Number 4 203 臼井さん
2階にパソコンのある部屋を発見した春子。求人情報を検索しようとするものの磯谷さんに先を越され、いつのまにか時間が経ってしまう。このあたりから『ボロアパートを舞台にしたシチュエーションコメディ感』が強くなってくる。冒頭では、ふつうに洗濯しているし。それにしても、部屋を半解放状態にしている臼井さんの心の広さよ。

・Number 5 207 亀井さん
履歴書を(臼井さんの部屋で)書く春子。磯谷さん、加納さん、そして初登場の亀井さんからアドバイスを受けながら項目を埋めていく。資格でも、その級数やラインアップから自発的に勉強しているかが分かったり、得意科目でも学生じゃなかったら別の言い方にいたほうがいいとか、勉強になった。もう10年以上履歴書なんて書いていないけど。

・Number 6 104 田中家
椿荘で、小学生の姉弟とその母親と出会った春子。しかし、遊びに来た鈴子ちゃんの名推理から、その家族の真の姿が浮かび上がる。いつもはフワフワしている春子の気持ちが、一気に落ちる印象的なエピソード。ニセの家族を演じていること、本当の家族はそのことを見て見ぬふりをしているであろうこと。いまの春子には辛すぎるな。

・Number 7 1407 タカシさん
春子の登場しない、幕間的なエピソード。それぞれ元恋人として、親友として春子のことを分かっているつもりでいたが、逆に『あるべき春子像』を押しつけていたのでは? と気づく流れが良かった。あと、ラストの鈴子ちゃんの「安易に伝言なんて引き受けるもんじゃないな」というセリフも印象的。

・Number 8 104の田中さんちに来てた子
Number 6に登場した田中家の子供(子役)が再登場。その女優魂から演技力を高めようと即興芝居をする。春子だけでなく椿荘の住人も、自然とそれに沿う演技をして、まるでミュージカルのような内容に。147P5コマ目の女の子の描き方が、大変好みです。

・Number 9 100 椿くん
磯谷さんが不在のため、七輪でパンを焼こうとしてボヤ未遂を起こした春子は、となりの(物置のような)部屋に住む椿君から水をぶっかけられる。少女漫画とかだと、こういう第一印象が最悪な相手(ファーストコンタクトはNumber 2だけど)との仲は進展していくパターンだけど、椿君のほうにもわざわざ狭い部屋に籠っている謎もあるし、どうなるか?

・オマケ
各話の間のページでは、登場人物たちがイスに座っている姿が描かれています。同じビジネスチェアでも、鈴子ちゃんと亀井さんと物部さんでは違うタイプのモノが描かれていて細かい。そして、春子だけは地べたに座っている。自分だけの形のイスを見つけることができるんだろうか?



椿荘101号室(2) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)椿荘101号室(2) (エデンコミックス) (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)
(2014/05/14)
ウラモトユウコ

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・Number 10 椿くんちの物音
ここから2巻収録分。前話のイザコザを引きずる春子。椿くんの部屋の目覚まし時計が鳴りやまないことから、あらぬ想像をしてしまう。相手の態度ひとつで、聞こえてくる物音の印象が変わってしまうという流れが良かっただけに、そこからオチへの落差が大きかった。

・Number 11 105 鬼木さん
嵐の夜に椿荘が停電に。そこで春子は、住人不在のはずの105から明かりがもれているのを目撃する。初登場の鬼木さんが、けっこう行動力がありそうな感じなのに小柄というのが個人的な高評価ポイントでした(比較対象が磯谷さんだから、そんな小さくないのかもしれないけど)。

・Number 12 203 臼井さんちの写真
鬼木さんが撮った数年前の椿荘の写真から時の流れを感じる…という展開になるのかと思いきや、磯谷さんがそれぞれの写真に合ったフレームを(超即行で)作るという、コメディ色の強い内容。子役の子の本気の写真 → 超凝った額縁から、春子の履歴書用の写真 → カマボコ板にクギを打って紐で囲った物というギャップが素晴らしい。

・Number 13 元101 フランソワさん…?
ひさしぶりに、鈴子ちゃんが椿荘に遊びに来る。元住人に届いたエアメールから、春子が外の世界とのつながりを感じ想像を膨らませる。いつか、フランソワさんの登場もあるかもしれない。あと、従兄弟の結婚式の招待状をタカシさんからのものと誤解した鈴子ちゃんが捨てようとするけど、部屋のゴミじゃあすぐにバレるだろうに。

・Number 14 203 臼井さんの職業
椿くん、磯谷さん、亀井さん、そして春子の4人で麻雀卓を囲む。椿くんの口からいろいろと情報が語られる。浪人生活を送っているのは頭が悪いからではなく、運がなかったから(インフルエンザとか交通事故とか)。家は代々医者の家系で、祖母(=大家さん)が今後の重要人物らしいことが明らかになる。そして、謎の人・臼井さんの職業も判明。影の薄さを武器にしているわけね。

・Number 15 椿荘の来客
椿荘の様子をうかがう若い女性の姿が。新しい入居者 = 椿荘カースト最底辺からの脱出と考えた春子が、中を案内する。その正体は椿くんの彼女のミキちゃんだったわけだけど、なんとなく今後の登場頻度は多くない気がする。肌のツヤツヤ具合が見事な92P4コマ目の表情とかはいいんだけど、他の住人とくらべてキャラ立ちが弱いような。

・Number 16 106 権藤さん
椿家で執事をしていた権藤さんがやって来る(Number 14で椿くんが、その存在を話している)。が、けっきょく加納さんのオモチャ(?)になってしまうことに。まちがいなく最高齢住人なのに、そのチンマリとした体格もふくめて新しいマスコットキャラが加わったという感じ。

・Number 17 104 田中家→103 加納さんち
2巻のハイライトのような話。部屋がとなりで大人の女性の2人、加納さんと田中さんだが、その生き方は相反するものがあった。特に加納さんが、田中さんを「あの人 沼みたいだから」と評しているセリフが良かった。はじめは正体不明といった感じのあった加納さんだが、実際は『美の追及』という、ストレートな生き方をしているわけか。

・Number 18 椿荘の大人たち
洗濯ものを勝手に着られたり(Number 16でその組み合わせを春子が着ているのが細かい)、部屋に勝手に入られたり、仕事の心配をされることに嫌気がさした春子は、椿荘を飛び出してしまう。けっきょくはどこにも行くことはできなかったわけだけど、このことがキッカケでどういう心情の変化が起こるのか? あと、亀井さんと鈴子ちゃんは、いつのまにそんな関係に……?

・番外編 たちばなし四姉妹 <其の一>
コミックEDEN(紙媒体)に掲載された、番外編。電車で一時間くらいのところにある実家に帰った春子が、牡蠣鍋パーティーをする。性格バラバラな四姉妹のにぎやかな会話と、口には出さないそれぞれの考えがあるのが良かった。二女・秋子と三女・冬子が7歳差なのに冬子と四女・春子が1歳差なのが気になった。時系列的には、椿荘に入る前のことです。


あとがきの『登場キャラから連想する数字(春子は、3)と、住んでいる部屋番号が違うので混乱する』というエピソードが、面白かった。





テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2014/05/17(土) 10:14:20|
  2. ウラモトユウコ
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彼女のカーブ の感想


彼女のカーブ (F COMICS)彼女のカーブ (F COMICS)
(2014/02/12)
ウラモトユウコ

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今年クルんじゃないかなと思う漫画家シリーズその①(②以降があるかは定かではない)。
ということで、ウラモトユウコさんの短編集『彼女のカーブ』の感想です。エロティックスFに12~13年に掲載されたもので、女性の体のパーツにスポットをあてた内容になっています。表紙の割に、内容はエロくないです。

・1 桶屋さんのデコルテ
デコルテというのは、女性の首から胸元にかけての部分の事。ソコがやや平らなせいで、落としたコンタクトレンズを受け止められなかったことから、女子大生の桶屋さんの大変な一日が始まる。“何かあった”ことを説明する12Pの詰め込み感が大好き。しかし『彼女のカーブ』というタイトルで女性の体のパーツがモチーフなのに、いきなり直線的なところをメインにすえなくてもいいのに。

・2 エレガのほくろ
入れ替わりが激しく、なぜか不慣れな男性店員ばかりが働いている書店。そこのエレベーターガールは、うなじにちょうど押してみたくなる大きさのホクロがあった。常連客の内藤は、つい誘惑に負けてしまい…。という話。他の話は明るくポップな感じが多いのに、この話は星新一っぽいダークな雰囲気がある。

・3 姉の薬指
事故死してしまった姉の火葬現場から、何かを持ち出した弟の礼太。その後を婚約者の男が追いかけてくる。他の話と違って、男同士の会話がメイン。婚約者が慟哭する50~51Pは、作者には珍しく筆の荒々しいタッチで印象的だった。でも回想があるとはいえ、話の中心である女性が骨だけの登場というのはどうなんだろうか?

・4 母のまつげ
終電を逃してしまった良子は、ぐうぜん見かけた父親と一緒のタクシーに乗ろうとするが、その横には見知らぬ女の姿が…。車内で、モテモテダンディな父親とカタブツな母親のなれそめの話を聞くことに。60Pと62P、それから68Pで横顔をリンクさせているのがイイ。たぶん、いちばんテーマに忠実なエピソード。

・5 幽霊の二の腕
お風呂の給湯器が壊れたので、3日間銭湯に通うことになった中学生の莉沙。そこで素敵な同世代?の女性を見つけるが、腕には種痘のあとが…。料金は先払いなのか後払いなのか?ということなど、銭湯の風習に戸惑う莉沙がカワイかった。あとは、ラストでの何かを悟った感じ。でも、銭湯の人はアラフォーでも若く見えるということで納得できるけど、莉沙ママの種痘を経験せずに中学生の娘がいる年齢でフケて見えるというのが、かなり限られた設定だと思った。

・6 先パイの耳たぶ
ひとり教室に残っていた女子生徒は、カサハラ先輩の荷物を取りに来た野球部の後輩にピアスの穴開けを無理矢理手伝わせようとする。卒業式後の教室、先輩と後輩、想いを寄せていた先生への告白と甘酸っぱさ全開なのに、後輩が窓から投げた荷物のコントロールが悪いという、笑えるシーンを持ってくる隙のなさ(でも、直後の「ノーコン!」がカワイイので、問題なし)。

・7 兄嫁のつめ
ネイリスト検定を目指している朝子。しかし、試験前日にモデル役の友人がインフルエンザを患ってしまう。そこで代役になったのが兄嫁の美咲。しかし、そのマイペースっぷりに振り回されることに。美咲が実は…というのは料理の件で予想できたが、兄が到着してからの事情説明シーンは短いながらも良かった。あと、作者はなんとなく、こういうフワフワしたギャルっぽい人を描くのが上手いと思う。

・8 キミの脚
彼女に靴をプレゼントしようとしたもののフラれてしまった、サラリーマンの男性。職場の先輩にあげようとするがサイズが合わず、不燃ゴミの日も過ぎてしまう。そうしているうちに段々と靴に愛着がわいてしまい、理想の脚を持った女性に履いてほしいと思うようになる。いちおうテーマには忠実ながらも、ラストはちょっとファンタジーが入りすぎていると思う。

・9 ふたごのスキマ
親でも見分けがつかないほどソックリな双子の亜紀と美紀。2人で1セットに扱われることが嫌になった亜紀は、髪形を変えたり部屋をふたつに分けたりして、オリジナリティを得ようとする。しかし、美紀の方は違う考えを持っていて…。分解した2段ベッドでの会話シーンが良かった。このなかのベストエピソードと言ってもいいと思う。

・10 彼女のかたち
店の前をよく通る男性を観察していた、花屋の田中さん(店名的に)。その男性が、突如店にやって来て、女性へのプレゼント用花束を注文する。田中さんは、その相手がどんな人なのかとアレコレ想像する。これは、体のパーツうんぬんよりも、1本のラブストーリーとして完成度が高いと思う。

・番外編 風吹ちゃんのおしり
1に登場したスレンダーな桶屋さんの友人で、女性的なボディラインの風吹ちゃんがメイン。ブランコにお尻がはさまってしまう。2人は、空手サークル?なのね。



作者の別作品である『椿荘101号室』も、2巻が出たら感想を書きたいと思います。







テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2014/02/15(土) 16:34:16|
  2. ウラモトユウコ
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