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5月は、六道の悪女たち、少年ラケット。

死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々 第1巻の感想


死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々(1)(少年チャンピオン・コミックス・タップ! )死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々(1)(少年チャンピオン・コミックス・タップ! )
(2014/12/08)
阿部共実

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阿部共実先生の最新作『死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々』略して『死に日々』の第1巻が発売されました。
秋田書店のWeb漫画誌『タップ!』にて昨年7月から不定期に発表してきた短編8本と作者が自身のHPで発表した2本に、描き下しの1本を加えた構成になってします。

・表紙デザインなど
表紙は『空が灰色だから』を踏襲する水玉模様。43文字という長いタイトルを、どうやって配置するかに苦心したのが見て取れます。特に背表紙。

・第1話 お前がどんな姿、形をしてようとも
タップ開設と同時に公開され、サーバーをダウンさせた1作。自殺してしまった歳の離れた弟を、ネットで知った怪しげな降霊術で甦らせようとする兄。そこに『ズリズリ』と何かが這うような音が近づいてくる…。バケモノ → 幼女の2段オチになっているけど、やっぱりふたつめのほうが、阿部共実作品らしいと思う。主人公がアラサーの男というあたりが『空灰』との違いか。

・第2話 一旦だけ一旦だけでも
表紙の子・高柳が登場する話。仲が良いんだか悪いんだかわからない なー子 との下校途中に、東京の大学に進学した峰先輩と再会する。しかし先輩は、なにごともまずタオルで拭かないと気が済まない『一旦拭きたい症候群』になってしまっていた。淡い恋心がはじけ飛ぶラストといい、全編に渡って空中を漂っている水滴といい、漫才風味の序盤からは想像できない切ない内容に。

・第3話 ネコネコココネコネコネネコ
描き下ろし作品。大量のネコグッズを購入するものの、ネコを飼っていない市川くん。そのネコ目当てで部屋に来てしまったバイト先の主任さん(♀)の不満が爆発するが、それを受け流す市川くんのマイペースっぷり。しかし、飼う気もないのにネコグッズを収集する理由は何なんだろうな?という疑問は、48Pの主任の「やりますけどぉ!」で、だいたい相殺される。

・第4話 がんばれメガネ
高校時代に同じグループだった男鹿さんから呼び出された女楽さん。男鹿さんの痛々しい大学デビューっぷりや、過去の金銭のやり取りに対する執念深い細かさ、それに対する女楽さんの怒涛の脳内ツッコミ。阿部共実作品特有の言葉の洪水を堪能できる内容。せめて、もう一人友達がいればちがった展開もあっただろうに。

・第5話 え
雪で止まった列車の中での、26歳フリーターの加賀と「え」でしか会話しない18歳女子高生の伊井青羽の漫才トーク。前半は「えっ?」「ええ~」「A」と同じ音でも意味が違うテクニカルな会話が続いていたが、後半の人文字を駆使した力業な展開も個人的には嫌いじゃないです。

・第6話 それがだよ
高校の友だちとは緊張してマトモに話ができない真城、彼女のくされ幼なじみで専属通訳の岡田、真城のクラスメイトでイケメンの木沢のちょっと変わった三角関係?の話。真城と木沢がイイ感じ → 岡田が邪魔者ということを自覚し真城に自立をうながして立ち去る……からの、大逆転劇が見事だった。

・第7話 10時間
バイトばかりの貧乏生活に嫌気がさしている理子が、中学生?の姉とケンカしたりする。「ガルチェ&ドッバーナ(スリーパーホールド)」とか「ネコトマトは偶数縛りで買え」とか、キレのいいギャグはあるものの、全体的には閉塞感のある切ない内容。夢の世界を借りることで、作者の言いたいことを言ったという感じかな。あと、94P5コマ目と96P1コマ目の理子が、大変好みです。

・第8話 アルティメット佐々木27
27歳コンビニバイトの佐々木が、後輩の坂本君に恋愛相談する。常に主語が『佐々木』な佐々木の会話のテンポが良かった。今回の単行本発売記念で続編がタップに発表されたし、佐々木は今回の人気ナンバー1ということか。あと、サービスショットの吹き出しが邪魔。

・第9話 おねがいだから死んでくれ
クラスで孤立している田所君が、秘かにネット上にマンガ投稿している佐久田君と友達になろうとするが……。他者とコミットすることのできない田所君を、一見おとなしそうな佐久田君がクソミソに論破する場面だけでも十分重いのに、時間をさかのぼって希望を持っていた田所君の描写をラストに持ってくるという非情な構成がキツイ。あと、人の描き方というか表情の演出みたいなところに、新しい描写を取り入れている印象。

・第10話 深い悲しみ
作者のHPで発表されていた一作。ある女子高生が抱えることになった『悲しみ』とは。4ページながら、だんだんとその正体がわかっていく構成が上手い。絵柄的に空灰前のころの作品かな。

・第11話 1/4黒ニーソメガネ児童液
岡本さんは、中学校の同級生で現在ニートの久本くんをファミレスに呼び出す。現在の悲惨な状況を聞こうとするが、久本くんの口からは意外なことが語られる……。何度も繰り返されるセリフ。同じような構図のコマが連続することで妙なテンポと疾走感を生み出している。ただ、サブタイトルのブツは、このご時世にはギリギリの代物だな。


今回、単行本に収録された作品がタップで読めなくなっているのは理解できるんですけど、なぜ『高校生帯』と『なわに情人こもどゲロ畑牧場』も読めなくなっているんですかね。順番で行けば、3話と4話なのに。










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テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2014/12/13(土) 08:45:53|
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