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コミック星新一 親しげな悪魔の感想

コミック星新一☆親しげな悪魔コミック星新一☆親しげな悪魔
(2012/08/16)
星 新一

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1001編以上の小説を発表し“ショートショートの神様”とも言われる小説家・星新一の作品を、有名漫画家10名がコミカライズした『コミック星新一 親しげな悪魔』が発売されています。これまでにも『空への門』『午後の恐竜』の単行本2冊(および再編集した文庫版の『ショートショート招待席』)が発売されているので、シリーズ3冊目ということになります。
自分は星新一作品を読んだことがないのと、ややネタバレありなので、ご容赦を。


・ひとつの装置/白井弓子
ある科学者が膨大な予算を注ぎ込んで造ったのは、腹部のボタンを押されると手で戻すだけの『なにもしない装置』だった。トップを飾るだけあって、完成度の高いエピソード。特に、装置が放置されてからの時間が経過する速さが素晴らしい。

・ねらった金庫/石黒正数
ある2人組の泥棒が狙ったエフ博士の発明品。しかし、そこにあったのは高性能のロボット犬で…。石黒先生の一話完結スタイルと星先生のショートショートスタイルの親和性が高くて、ストーリーと絵柄のマッチングがとても良かったと思う。あと泥棒のソバカスのほうは、特に何もしてないだろ。

・たねの効用/奈々巻かなこ
学生が道案内したお礼にもらった不思議な植物の種。その葉っぱを入れたお茶を飲めばあくせくしなくなり、根には純金をつける。学生は植物の葉と金を売ってのんびり暮らしながら歳をとっていく。しかし、ある占い師から言われたひと言で疑問が生まれてしまう…。ラストは解釈が分かれそうだけど、結局お茶を飲んでいることを考えると、やっぱりダークなことだったということなのかな。

・親しげな悪魔/武嶌波
老人の姿をした自称・悪魔。余命わずかな男の3つの願いを叶える。表題作ということもあって、いちばん面白かった。3つの願い(不老不死・大金・女)を選んでいく過程が妙に細かかったのも面白かったし、その入手方法やオチの落差が良かった。

・愛の作用/KUJIRA
長年連れ添った妻に先立たれた資産家のために、妻そっくりのロボットが制作される。このエピソードは、あまりヒネリがなく淡々とストーリーが展開していく。ただ、作中で“愛”を感じているのがロボットだけで、人間がみんな打算的な行動しかしていないというところがポイントなのか。

・妖精/渡辺ペコ
ある少女の前に姿を現した妖精。なんでも願いを叶えてくれるというが、その2倍の効果がライバルと思っている少女にもたらされるという。キレイになれば2倍キレイになり、ケガをすれば2倍のケガを負う。少女が妖精にお願いしたことは…? でもコレって妖精が言っていたように「みんな同じことを思いつく」ので、妖精は延々とたらい回しされる運命なのでは?

・疑問/道満晴明
ある男が5年の研究の末に魔法陣から呼び出したのは、普通の女性だった。そこから始まる召喚の連鎖と、ひとつの疑問。どこかつかみどころのないストーリーと道満先生のポップな絵柄が、とてもよくマッチしていたと思う。この話は、フルカラーで読んでみたかった。

・意気投合/青木俊直
宇宙船で旅する3人の人間。なんどか宇宙人とコンタクトをとってきたが、文化的に釣り合う文明となかなか出会うことができない。そんなときに立ち寄ったある惑星で、ものすごい歓迎を受けるが…。そこにあるものに手をつけずに自分たちの要求を伝えれば、もっと多くの望むモノが手に入ったということを考えられないということは、やっぱり文化的なバランスは取れていなかったということか。それから、大量の宇宙人をすべて描き分けているというところに拍手を送りたい。

・もてなし/西村ツチカ
うだつの上がらない男が、バーで知り合った男性からバッジをもらったことから「ブルギさん」と呼ばれ、見ず知らずの人から多くの厚意を受ける。ダークなオチや絵柄のせいもあるのかもしれないが、なんとなく『笑ゥせぇるすまん』を連想してしまった。

・花とひみつ/鈴木志保
少女が空想で描いた絵が、風に飛ばされ空を舞い、軍事施設に渡ってしまう…。空白を怖がらない大胆なコマ割り、見開き全体を使って空や地中を描くなど自由な紙面使い。ハッキリ言って、この話だけは星新一よりも鈴木志保の世界観が上回ってしまったという印象。





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テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2012/09/01(土) 21:09:17|
  2. そのほかの漫画
  3. | コメント:4

コメント

遅くなりましたが、リクエストに応えていただきありがとうございます。

石黒氏にはもう少し捻ったオチの作品の方が良かったかも、と一瞬思いましたが、こういうギャグがやっぱり合っているように感じます。女性二人組は鉄板ですね。

他の作品では、「タネの効用」と「妖精」がいいなと思いました。
  1. 2012/09/19(水) 22:40:10 |
  2. URL |
  3. 六角柱 #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 遅くなりましたが、リクエストに応えていただきありがとうございます。
> 石黒氏にはもう少し捻ったオチの作品の方が良かったかも、と一瞬思いましたが、こういうギャグがやっぱり合っているように感じます。女性二人組は鉄板ですね。

本編の後のコメントにもあるように題材選びは、ちょっと苦労したみたいですね。

> 他の作品では、「タネの効用」と「妖精」がいいなと思いました
個人的には、やっぱり鈴木志保さんの『花とひみつ』が最高でしたね。個人的なベスト・エピソード・オブ・ザ・イヤー2012間違いなしですね。絵柄でいえば道満晴明さん、ストーリーは白井弓子さんが良かったです。

六角柱さん、コメントありがとうございました。





  1. 2012/09/21(金) 21:31:12 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集 ]

先日このブログで「コミック星新一」を知りました。私は以前より星新一の作品を愛読しており、漫画も大好きなのですぐに購入しました。

原作を読んだことがあるので、だいたいのオチも内容わかっていましたが、漫画になるとまた新鮮で面白かったです。

私は「もてなし」と「ねらった金庫」が好きです。他の作品も悪くはないのですが、原作を読んだときのイメージと実際の絵が違いすぎるという、私の都合で好きになれませんでした・・・。
  1. 2012/09/22(土) 20:27:47 |
  2. URL |
  3. ガガンボ #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 先日このブログで「コミック星新一」を知りました。私は以前より星新一の作品を愛読しており、漫画も大好きなのですぐに購入しました。
ありがとうございます。
> 原作を読んだことがあるので、だいたいのオチも内容わかっていましたが、漫画になるとまた新鮮で面白かったです。
自分は、逆に原作を読んでいなかったので、どの話も「そういうオチになるのか~」と感心できました。
> 私は「もてなし」と「ねらった金庫」が好きです。他の作品も悪くはないのですが、原作を読んだときのイメージと実際の絵が違いすぎるという、私の都合で好きになれませんでした・・・。
道満晴明さん、青木俊直さん、鈴木志保さんあたりはポップな絵柄なので、好みが分かれるかもしれないですね。

ガガンボさん、コメントありがとうございました。



  1. 2012/09/23(日) 14:49:53 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集 ]

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