晴耕雨マンガ

8月は、少年ラケット、ダンジョン飯、ゴールデンカムイ。

空が灰色だから 第4巻の感想


空が灰色だから 4 (少年チャンピオン・コミックス)空が灰色だから 4 (少年チャンピオン・コミックス)
(2013/01/08)
阿部 共実

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空が灰色だからの最新刊が発売されました。今巻の水玉は、緑色です。


・第37話 私が守りたかったもの
悪い噂がたっていて不審者の疑いがある斉藤君を、クラスメイトの越後さんと駒林さんが尾行して真偽を確かめる。はじめは正義感からの行動だったのが、やがて自分のプライドを守るために斉藤君に悪事を期待してしまうという、越後さんの心の移り変わりが上手いと思った。そして、そのことに自分で気づき、しっかりと罰ゲーム(スク水+ニーソ姿で片腕で逆立ちしながら鼻くそほじりつつ、ボイスパーカッションしながら謝罪)をこなすという、自分を律する姿勢が素晴らしかった。しかし片腕で逆立ちできるって、女子高生離れした身体能力だな。

・第38話 噂によると世の中は甘くないらしい
第15話に登場した、天才・翔、凡人・美緒、そして第2巻の表紙を飾ったネガティバー・璃湖奈のトリオが再び登場。睡眠時間と才能の関連性についてグダグダとトークする。そして、美緒からややマジトーンの説教をくらったあとの璃湖奈の、いかに『世の中が甘くあってほしいか』という熱弁は、笑えるけど妙に納得させられてしまう。確かに、甘い世の中が嫌な人なんていないはず。それから、今回の翔もストⅡ戦法が冴えわたっていた。

・第39話 世界一我侭な私から 世界一ブスなお前に
この巻だけでなく、空灰史上屈指の友情回。今崎(美人)と中浦(ブス)は、小学校のころからのつき合いの親友。クラスの男子からバイトに誘われて、面接には中浦だけが行くが、バイト先が求めていたのは美人の今崎のみ。ヒドイ言葉を浴びせられて、帰る中浦と入れ違いに乗り込む今崎。親友の中浦に対しては「ブス」しかバカにする言葉が出てこないのとは違い、店の中で暴れながら次々と出てくる罵声の数々がリズミカルで気持ちいい。「残飯屋の銀蝿共」とか「密告(チンコロ)こいて停学」とか、声に出して読みたくなってしまう。ちなみにこの2人、第32話にも登場しています。

・第40話 マシンガン娘のゆううつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつうつ
表紙をつとめているマシンガントークの乙香、のんびりとした話し方の牛島、そしてアスカの3人が登場。『空灰の3人娘モノはグダグダトーク』という方程式を、見事にブッ壊してくる。他人の話に食い気味に入り込み、痛いところをズバズバ突いてくる乙香。だけど、ひとりになると一転、思考がネガティブに転落してしまう。体がシルエットになるだけではなく、ただの黒い四角になってしまうほど気持ちが落ち込んでしまう。『誰かといっしょにいるときは平気だけど、ひとりになると急に悪い考えばかりが浮かんでくる』ということに覚えのある人は、けっこういるはず。あと、最後のページで話し始めるのをワンテンポ待っている2コマと、痛いところを突く言葉の効果音が、ちょっと軽くなっているのがイイ。

・第41話 長い黒髪の乙女の長い話
第25話に登場した寛太が告白した小谷さんが主人公で、バイト先は第1話で宇佐美さんが辞めたコンビニという、他の話とのリンクが多い回。小谷さんが長い髪を切った理由を、夏休みの日記風に紹介していく構成は面白かったが、そのなかで日記帳とプリクラ帳がないということをしっかり説明しているのも見逃せない。しかし、小谷さんのクラスは、円とか今崎&中浦、寛太、風馬、茶々、それに今回の後村や志村なんかを合わせると、クラスの半分くらいは登場したんじゃないだろうか?

・第42話 漏らしたくない
修学旅行の自由行動中に、古い公民館のエレベーターに閉じ込められてしまった4人。そのうちのひとり、村沢さんはオシッコを漏らしそう。しかも、気を紛らわそうと会話をする他の3人に対して個人情報も漏らしたくない。村沢さんの「私の情報を無暗に他人に漏らしはしない おしっこは今にも漏らしそうだけど」みたいな『漏れるあるある』モノローグが面白い。しかし、第19話で謎の黒い空間に閉じ込められてしまったのは沢村さん。今回エレベーターに閉じ込められたのは村沢さん。しかも2人は同じ学校。この共通点は、なんなんだ?

・第43話 膨らんだ
この巻の鬱話。高1の前村さんは、人づきあいが苦手なために『架空の弟』を作り上げて学校生活を送っている。そして、実際にいる弟もまた…。という話。この話のシンボルで、コンクリート塀やマンションの壁一面を這っているナメクジが気持ち悪いし、最後の無言で料理を作る → 自分だけ食べるという2コマも切ない。しかも、2人分の食事しか用意されていないから親はどうしているんだろう? と、色々と想像が膨らんでしまう。

・第44話 私と私で私のまっぴるみにトートロジー
トートロジーというのは、同じ言葉を反復させること。無職の26歳・郁美のモノローグが全編に渡ってそのような構成になっていて、クセになるような妙なリズム感がある。しかも、布団の中で眠りに落ちる前に聞こえた音 携帯 → 金槌の音 → パソコンの送風機 → ラップ音 → 子供の声 → 飛行機の騒音 → 発砲音? → 水漏れ が、夢の中では逆に ポタポタ → パーン → ゴオオオオ → きゃあきゃあ → ぴしっぱきっ → ウオオオ → カンカンカン → ピピピピピ と、逆に聞こえてくるというテクニカルな構成も見逃せない。

・第45話 名乗る名もない
個人的な解釈の間違いで(ちょっとだけ)物議を醸してしまった話。改めてじっくりと読み直してみると、イジメられっ子であるアネゴが同じくイジメられている光生に対して、普段自分がやられたりしていること(相撲とか)や言われていること(「生きてて楽しいのかお前」とか)をすることで、自分が精神的に優位に立てる相手を見つけて悦に入っているんだと分かる。しかし光生は、こんな形で性の目覚め(「僕を褒めて褒めてアネゴアネゴアネゴ」のコマは、確実に勃ってる)を迎えてその直後にアネゴの本当の姿を見たショックがあって、ゆがんだ青春を送りそう。

・第46話 初めましてさようなら
学校に出る幽霊の話をしている女子中学生の中で、ひとりだけ夏服だなと思ったら、その娘が幽霊だった。という出だし。その地縛霊の磯辺っちょが、夜の学校の屋上で自殺を図った宮もっちゃんと出会い、生きることの素晴らしさを説く。真っ当な青春ストーリーっぽく爽やかに終わっているけど、ラストを冷静に考えてみると空灰の中で最もバッドエンドと言えなくもない。まあ、オマケの4コマとかカラーページだと楽しそうにしているから、コレでよかったのかも。

・第47話 アリス14歳乙女座の乙女の告白
中2にもなって人形遊びをしている女の子。その本当の目的は…という話。でも、脚本の構成度とか他人が自分の考えた通りに動いてくれると思っている都合のよさとか、そもそもセリフを覚えることができていないとか無関係の力丸君を巻き込もうとしているとか、色々と無理のある計画だったと思う。ただ、林田をリンダにして、自分(有須=アリス)、好きな相手(神門=ゴード)と合わせて、アメリカンな雰囲気の人形劇にした点は評価したい。

・第48話 幸福パンデミック
全世界を幸福にすることが目的のクラブ、ハッピーハッピーハッピークラブ(通称H3C)に参加しているものの、自分の感情を表に出せない流々香の心の変化の話。セリフが一切ないキャラなので感情が分かりにくいものの幸せを感じると現れるミニキャラ(幸福菌)が、現れてH3Cの3人分がひとつに合体していくのが良かった。これまで単行本ラストの話は、ガガスバンダス、世界の中心、真・佐野さんと強烈なインパクトのモノばかりだっただけに、158Pで流々香が俊哉を助けるまでは、逆方向に展開するのではとハラハラした。

・空が灰色なので
オマケは、第42話に登場した村沢さんが登場。無事にエレベーターから脱出できたものの、こんどは夜の旅館でトイレに行けない(おばけが出そうで)。ラストを見るに、残りの学校生活は、インパクト勝負のあだ名で過ごすことになるんだな。



今巻は、スバ抜けたインパクトを残す話は無かったものの、そのかわり粒ぞろいのエピソードばかりだったと思います。トラウマ系は、同時発売の短編集にまかせた感じでしょうか。




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テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2013/01/10(木) 14:41:33|
  2. 阿部共実
  3. | コメント:4

コメント

43話で作られてた食事は本人と親の2人分だと思います
細かい指摘ですみません
  1. 2015/10/21(水) 22:43:47 |
  2. URL |
  3. 名無しさん #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 43話で作られてた食事は本人と親の2人分だと思います
> 細かい指摘ですみません

91Pの「今日もお母さん遅いから晩ご飯作っとかないと」のところがあるからですよね。
でも、(仕事で遅いであろう)母親は食べて帰ってくるので、自分と弟の2人分を作らなければ。
とも考えられないでしょうか?

こういうふうに、どういう感じにも捕らえることができるのが、空灰の魅力だったりすると思います。



コメントありがとうございました。





  1. 2015/10/22(木) 15:43:34 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集 ]

はじめまして。
私もはじめは「(仕事で遅いであろう)母親は食べて帰ってくるので、自分と弟の2人分を作らなければ。 」
という風に思っていましたが、
確かに「母親の分」という考え方もできるんですね。
弟はいない、いう考えだとすると弟の分は
はじめから作るつもりはなかったのでは、とも思えてきて。
色んな考え方ができ、楽しいですが
作者の真意がきになるところです。
  1. 2015/11/30(月) 16:00:03 |
  2. URL |
  3. 名無しさん #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> はじめまして。
> 私もはじめは「(仕事で遅いであろう)母親は食べて帰ってくるので、自分と弟の2人分を作らなければ。 」
> という風に思っていましたが、
> 確かに「母親の分」という考え方もできるんですね。
> 弟はいない、いう考えだとすると弟の分は
> はじめから作るつもりはなかったのでは、とも思えてきて。
> 色んな考え方ができ、楽しいですが
> 作者の真意がきになるところです。


はじめまして。
この話は姉も弟も、架空の弟や姉を作ってすれ違っていた。というのがキモなので、ラストの『残された食事は誰ものか?』ということの答えは明示されず、読者的にはモンモンとするしかない。というのが正しい楽しみ方なのかもしれません。
もう3年くらい前の作品なので、ツイッターとかで阿部先生に聞いてみたら、案外教えてくれるかもしれませんよ?


コメントありがとうございました。





  1. 2015/11/30(月) 18:44:32 |
  2. URL |
  3. 管理人 #-
  4. [ 編集 ]

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