※あくまでも『ランク入りしそう、評価されそう』という基準で選んだものですので、必ずしも全てを読んでいるわけではありません。ご了承ください。
タイトル/作者/出版社/単行本既刊数
◆講談社
☆ パリピ孔明/四葉夕ト・小川亮/講談社/3巻
三国志の名軍師・諸葛亮孔明が、若い肉体に戻り現代の渋谷で復活。そこで出会った歌手志望の女性をトップにするため、様々な策略をめぐらせる。もはや、ひとつのジャンルとして定着した“異世界モノ”のなかでも、頭ひとつ抜け出した存在感。
☆ 満州アヘンスクワッド/門馬司・鹿子/講談社/2巻
心優しい日本兵士が、家族のために満州の地でアヘンを作り売りさばく。マンガ版・満州版の『ブレイキング・バッド』といった趣きで、ストーリーの急展開具合、そしてアヘン中毒者のイカレた描写の仕方が素晴らしい。
☆ メダリスト/つるまいかだ/講談社/1巻
人生ふたつぶん懸けて叶えたい夢がある! 選手としては挫折した青年コーチと周囲から浮いている少女が出会い、フィギアスケートの世界で頂点を目指す。スケーティングシーンの迫力が素晴らしく、演技に魅せられてしまう。個人的な今年の本命作。
☆ ワンダンス/珈琲/講談社/4巻
これまで周囲に合わせてきた男子高校生が、人目を気にせずダンスに没頭する女子高生と出会い、新たな扉を開く。ダンスの表現が抜群に上手いし、単行本表紙のデザインを途中の巻からやり直すなど、出版社側からのプッシュもうかがえる。
◆ネットでバズり系
☆ 定額制夫の「こづかい万歳」 ~月額2万千円の金欠ライフ~/吉本浩二/講談社/1巻
世の中の『おこづかい生活』を送る、すべての定額制夫たちの生きざまを描く。作者はドキュメンタリー系の第一人者で『ブラックジャック創作秘話』では、すごい1位を獲得している。「ポンタ怪人」「ステーションバー」などがバズり、ネットの反響も上々。
☆ 忍者と極道/近藤信輔/講談社/3巻
東京を舞台に、忍者と極道が真剣勝負(ガチ)で雌雄を決す(コロシアウ)。いとも簡単に雑魚キャラの首が飛び、セリフ回しはケレン味たっぷり。しかし、ストーリー展開は伏線が効いていて重厚という隙のなさ。更新されるたびにトレンドワード入りするなど、ネットの反響度はトップ。
☆ マイ・ブロークン・マリコ/平庫ワカ/KADOKAWA
親友の死を知ったOLが、予想外の行動に打って出る。ブロスコミックアワードで大賞に輝いているものの、ネットでバズったのが昨年。単行本発売が今年の1月と、盛り上がりからタイムラグがあるのが気がかり。
◆少年誌から
☆ アンデッドアンラック/戸塚慶文/集英社/3巻
自殺を決意した『不運』の女の子の前に『不死』の男が現れる。次にくるマンガ大賞で1位を獲得しているので他の賞でも上位に進出しそうだが、昨年ランキングを席巻した『SPY×FAMILY』や社会現象となった『鬼滅の刃』の反動で、ジャンプ自体は谷間の年という印象。
☆ 葬送のフリーレン/山田鐘人・アベツカサ/小学館/2巻
かつて勇者とともに魔王を倒したエルフの魔法使いが、世界各地を旅する。長命種であるエルフと、人間との間に流れる時間の感覚の違いを描くのが抜群に上手い。2巻からはバトル展開に入っていきそうだが、そこでのタイトル回収シーンもアツかった。
◆和山やま
☆ 女の園の星/和山やま/祥伝社/1巻
女子高に勤める星先生を中心とした日常コメディ。作者特有のテンポ感や独特のセリフ回し、同僚教師とのやりとりなど、すべてにおいてレベルが高く売れる要素しか見つけられない。前作『夢中さ、君に。』同様の高評価が期待できる。今年のド本命だと思う。
☆ カラオケ行こ!/和山やま/KADOKAWA(エンターブレイン)/全1巻
合唱部の男子中学生が、ヤクザに歌を教えることに。当初は同人誌として発表されたものに、加筆修正を加えて単行本化。ブロマンス以上BL未満のやり取りがもどかしい。『女の園の星』と票を分けあってしまわないかが心配。
◆その他
☆ 煙と蜜/長蔵ヒロコ/KADOKAWA(エンターブレイン)/2巻
大正時代の名古屋を舞台にした、18歳の年の差許嫁ストーリー。年齢が離れた恋愛だけでなく軍服や目の下のクマ、キレイな食事風景など様々なフェチを見つけることができる。そこまでの知名度はないだろうが、個人満足枠として。
☆ 戦争は女の顔をしていない/S・アレクシェーヴィチ ・ 小梅けいと・速水螺旋人/KADOKAWA/1巻
ノーベル文学賞を受賞した名著のコミカライズ。第二次世界大戦(独ソ戦)に参加した女性が語る当時の様子を、丁寧に描く。一般受けするタイプではないが、読めあたりに評価されるのを期待して。
☆ 薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―/笹生那実/イーストプレス/全1巻
美内すずえ、くらもちふさこ、山岸涼子など、少女漫画界のレジェンドたちの元でアシスタントをしていた作者のコミックエッセイ。『ブラックジャック創作秘話』や『青春少年マガジン』など、こういう昭和回顧系は一定の需要がありそう。
☆ 竜女戦記/都留泰作/平凡社/2巻
架空の日本を舞台にした壮大な歴史ファンタジー。主婦が天下を取る! 緻密な書き込み、重厚なストーリー、膨大な設定と隙のない構成になっている。『和風ゲーム・オブ・スローンズ』と評する声もある。
今年は講談社が強いかと思ったが、KADOKAWA系も意外と多かった。メダリスト、忍者と極道、葬送のフリーレン、女の園の星あたりが本命だと思う。