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晴耕雨マンガ

天国大魔境の小ネタ募集中/10月は、六道の悪女たち、ジョジョリオン、ヴィンランド・サガ。

カラオケ行こ! の感想





『カラオケ行こ!』の感想です。作者がコミティアで発表した同人誌に加筆修正し、描き下ろしを加えた一冊になっています。




・口絵
ダ・ヴィンチのモナリザをモチーフに、主人公のひとり・岡聡実が描かれています。『夢中さ、君に。』では、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』が使われていたし、この名画シリーズは続けていってほしいところ。

・カラオケ行こ!(前編)
 合唱部の部長・岡聡実(中3)は、ヤクザの成田狂児に誘われカラオケボックスへ。そこで「歌がうまくなるコツ教えてくれへん?」と頼まれる。経緯を説明する段階から作者の会話テンポの良さとか間の取り方の上手さがさく裂していて、グイグイと引き込まれる。特に狂児が十八番の『紅(X JAPAN)』を唄い始め、聡美がチャーハンを注文するあたりは早くもエンジンが全開になっている。
 狂児は曲選びに難航。聡美がほめた『タイガー&ドラゴン』とかリストアップされた曲から、なんとなく狂児の声質を想像できるのがいい。それから狂児はスタンドカラーのシャツを着ているけど、これは『女の園の星』の星先生も着用しているし、和山先生が好きなのかな? そして、聡実は中学最後の大会が迫っていたが、同時に声変わりの危機にも怯えていた。合唱には ソリ というパートがあるんだな。ソロじゃなくて。
 学校行事でイチゴ狩りに行こうとする聡実を拉致り、他のヤクザの歌唱診断もすることに。はじめは真面目にアドバイスしていたのに、最後3人はただの悪口になっているのが最高に面白すぎる。そして、お詫びに狂児がイチゴを4パック(段ボールに入っているヤツ)を買ってあげるのが、最高にエモい。あのイチゴは食卓に出すわけにもいかないので、ひとりで食べたんだろうな。

・カラオケ行こ!(後編)
 聡実の喉の調子はますます悪くなり、狂児もカラオケ大会が迫って来たので2人の練習は最後ということになる。しかし聡実は、理由を見つけ「近寄るな」と言われていた街の危険地帯に足を踏み入れてしまう。さっそく絡まれる → 狂児が助けに来るという展開だけでも最高なのに、84ページの血飛沫キャッチがカッコよすぎる。そこから聡実は感情を爆発させてしまう。声変わりの悩みもあり、いろいろと不安定になっていたんだな。
 合唱大会当日。聡実は交通事故の現場に通りかかる。警察の話では、そこに狂児がいたらしいのだが……。ここのモブは和山先生ではなく、他の人が描いているのかな?タッチが違うと思う。そして狂児の安否を確かめるため、聡実はヤクザが集まるスナックに足を運ぶ。ここで大勢の強面の大人たちに啖呵を切るのもすごいし、見事に喉を犠牲にして『紅』を唄いきるのも流石。はじめて狂児が唄ったというのもあるけど、タイトルの響き的にも、やっぱりここは『紅』じゃないと。
 そして時は経過し、聡実は高校を卒業する時期に。これまでのことを卒業文集に書くのもなかなかヘビーだけど、カラオケ大会のペナルティで聡実の名前の刺青を入れる狂児もなかなかにクレイジーだと思う。高校進学後、聡実は歌を唄っていないっぽいし、狂児もおそらくカラオケの練習をしていない。はなれていた3年間、2人がどういう気持ちでいたのか、いろいろと想像がはかどってしまう。

・描き下ろし
狂児の過去編。名前の由来や、どうしてヤクザになったのかといった経緯が描かれる。しかし、この街。カラオケボックスに反社会勢力が集まりすぎだろ。






今年は、和山先生イヤーですね。














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テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2020/09/17(木) 19:49:30|
  2. 和山やま
  3. | コメント:0

女の園の星 第1巻の感想




ある女子高教師の日常『女の園の星』第1巻の感想です。
表紙の星先生、メガネに付いたチョークの粉を拭き取ろうとしているけど、そんなことしたらレンズ全体に広がる気がする。






・1時間目
ある女子高校に勤める国語教師の星先生は、学級日誌で行われている『絵しりとり』が密かな楽しみだった。しかし、その中に意味不明な絵が……。正解が『星先生』だとある程度は読めるのだが、答えを上手く迂回しつつ『ほ で始まり い で終わるモノ』を連想し続けるのが上手い。ほっかほか亭だと思っていたけど、正しくは『ほっかほっか亭』だったのか。
小林先生のポロシャツのワンポイント → ペンギン

・2時間目
授業中に、生徒たちが騒ぎ出す。校庭に犬が乱入してきたのかと思ったら……。ベランダに宙づりの犬 → クラス犬という存在 → 名前があっというまにタピオカに → 小林先生の犬の思い出 → 眉毛を描かれるタピオカ → 犯人はクラス全員という流れが神がかっていて面白すぎる。クラス全員が手を挙げている後ろで、掲示板のマグネットが顔になっているのも最高。
小林先生のポロシャツのワンポイント → パック飲料

・3時間目
テスト中に漫画を描いている生徒を発見した星先生。大学時代に漫研に所属していたこともあり、彼女のマンガを読んでアドバイスを送ることになってしまう。その漫画『エターナルカオル』の要素詰め込みすぎのアクロバティックな展開も物凄いのだが、デスゲームが始まって田中くんが死んだときに小林先生が「一旦休憩入れます?」と、緩急をつけてくるところ、演出が上手い。
小林先生のポロシャツのワンポイント → ダンゴ、目覚まし時計

・4時間目
星先生のとなりのクラスの担任の小林先生に『ポロシャツアンバサダー』というあだ名がつけられていることが発覚する。この回は、ほぼ星先生と小林先生の会話に終始している。この2人の関係性というか遠すぎでも近すぎでもない距離感もこの作品の大きな魅力のひとつだと思う。あと、居酒屋に行ったときに星先生が「飲んで帰ると……」と言っているので、一人暮らしではないことは確定か。
小林先生のポロシャツのワンポイント → 宇宙人(グレイ)

・5時間目
生徒たちから提出されたノートの中に、自分の観察日記を発見してしまった星先生。その著者である鳥井さんは、6月30日が星先生の誕生日であるという情報をつかむのだが、当日に風邪をひいてしまうという痛恨の失態を犯してしまうのだった。ただ、この話はちょっとオチが分かりにくい。6月30日は、星先生の子どもの誕生日でもあり、ピザ屋からのクーポンメールが届いているので小林先生の誕生日でもあった。ということでいいのか?
小林先生のポロシャツのワンポイント → イチゴ?





ストーリーのテンポやユルい空気感、独特の言葉選びのセンス、どの要素も素晴らしくレベルが高い。今年ナンバー1になると思う。












テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2020/07/11(土) 19:52:52|
  2. 和山やま
  3. | コメント:4

夢中さ、きみに。 の感想





夢中さ、君に。 の感想です。作者の和山やまさんは、これが初の単行本ということになります。







・かわいい人
男子校の体育祭。借りもの競争に出場した江間は『かわいい人』というお題を引き当ててしまう。そこで目をつけたのは……。林のつかみどころのないキャラもいいし、冒頭の江間のモノローグも素晴らしい。「来年から中止にしたほうがいい」の前には、絶対にワンテンポ置い手に読んじゃうし、リズムがつかみやすい。あと、面倒を見ている妹が、江間の手にまで落書きしちゃっているコマが、細かくて上手いと思う。

・友達になってくれませんか
文学少女の松屋さん(アカウント名・おいも3兄弟)は、ツイッターをキッカケに林(アカウント名・仮釈放)と知り合うことに。それぞれ男子校女子校に通っているので、上手く会話が弾まない。そこから小説のセリフを引用したり(失敗)、看板の文字をつなぎ合わせた写真だったり、この2人独自のやり取りが微笑ましい。あと林のアカウントが@884344なんだけど、これは名前を数字に置き換えているのか。ハヤシミヨシ。

・描く派
林は中等部の小松という生徒に目をつけられ、絵のモデルをつとめることに。それを依頼するときの「え?」「え?」「はい!えです」のところのテンポも素晴らしいし、賞を獲れなかった小松に対する林の言葉もよかった。ただ、2人が出会うキッカケが『ベランダで干し芋を作っていたから』というのが、トリッキーすぎる。クラスメイト達も、普通にそのことを受け入れているし。

・走れ山田!
先輩の昼食を買うパシリにさせられている山田。いろいろとストレスが溜まっているところで、その先輩の財布を拾う。素直に届けるか、中のお金に手をつけるか……。林が登場して手助けするものの、あくまでも主役は山田で、前半と後半のブリッジとなる話という印象。あと、山田は全体の中でいちばん漫画っぽい顔の描かれ方をしていると思う。

・うしろの二階堂
様々な都市伝説を持ち、学校中から不気味がられている二階堂。席替えにより、彼の前の席になってしまった目高は現状を打破するために、掃除の時間に思い切って話しかけることに。ここの「伊藤潤二の漫画に出てたよね?」は、この1冊のハイライトだと思うし、笑いをこらえることができなかった。それから、2人の共通の知人から送ってもらった中学時代の二階堂の写真を、本編内では明かさなかったというのも演出が上手いと思う。

・おまけの二階堂
前話を二階堂視点から描く。美少年すぎるあまり、逆に周囲から避けられるキャラづくりのモデルが、目高だったという構成が上手い。それに、漫画を読まない二階堂が伊藤潤二を検索して、うずまきの呪いに捕らわれそうになるところが最高すぎる。

・うしろの二階堂 怒りの授業編
目高が鏡を見ながら変顔をする1ページもの。どのあたりが『怒りの授業』なのかは謎。『マッドマックス怒りのデスロード』が流行ったころだったのかな?

・うしろの二階堂 恐怖の修学旅行編
修学旅行で沖縄へ。二階堂は陰キャラを貫き通そうとするが、ホテルのロビーでソフトクリームを食べていたときに素が出てしまい、他クラスの女子に見つかってしまう。この女子の語る二階堂情報が「感染型」とか「空間移動できる」とか面白すぎる。ラノベの敵キャラかよ。そして、終盤は心霊写真ネタになるのだが、ラストで明かされる女子の部屋にいた幽霊をしっかり探してしまった。148ページか。

・あとがき
なぜか男子小学生に嫌われる。という話。ホントに「なぜ?」という感じだし、作者の自画像キャラもマツコ・デラックス的なデブのロン毛なので、もうちょっと美化して描いてもいいのにと思う。





裏表紙の林の絵は、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』か。












テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2019/08/10(土) 14:03:31|
  2. 和山やま
  3. | コメント:0