・第15話 Part A 文明開化七夕伝説 織姫と彦星の現代版。年に一度の七夕の日に大雨が降り、彦星と会えずに傷心の織姫(織物会社勤務)。新人社員の夕鳥若子さんがうっかり口を滑らせてしまったため、スマホの存在を知りドップリとハマってしまう。普通に彦星とやり取りしているのかと思いきや、ラブポエムブログを開設していたり、存分にスマホライフを満喫している様子が楽しい。いちおう姫なのに、2回も叩かれているのも面白い。
・第15話 Part B ああ天の川の流れのように スマホを持ったことにより、かえって会いたい気持ちが募りすぎて、ラブポエムがスランプになってしまった織姫。夕鳥さんの勧めでのぞいてみた出会い系サイトに彦星を見つけてしまったことにより、逆に詩情があふれ出す。そこから、七夕の短冊の由来につなげるオチの強引さが素晴らしい。基本的に恋に一直線の織姫が、常に地味な作業着姿なのが面白い。
・第16話 Part A vs.サキュバス 風俗で出会ったサキュバスにつきまとわれて困っている勇者(Lv.3)。そこで、東洋に伝わるホーイチ的な術で身を守ろうとするが、仲間の僧侶(Lv.2)は気が進まない。イヤイヤながら身体に呪文を書いたものの、肝心の局部に手をつける前にメンヘラサキュバスが乗り込んでくる。ピンチを切り抜けた勇者のハンドサインを、的確に読み取れるヤツはひとりもいないと思う。しかし、サキュバス1体でレベルが7も上がるモノなのかな?
・第16話 Part B 酒とサキュバスと男と女 魔王討伐前夜。様々なところ(具体的には胸部)が成長した僧侶(Lv.87)は勇者(Lv.97)に告白しようとするものの、勇気が出ない。酒場で再会したサキュバスにアドバイスを仰ぐ。教わった『男を褒めるさしすせそ』が、続けざまに空振りする様が見事だった。っていうか、パートAから10年間、この2人だけで戦い続けてきたっていうのが地味にスゴイ。他の人とパーティー組まなかったのか。
・第17話 Part A 就活霊 就活中に不慮の死をとげた三鴨さんが、霊ならではの仕事を探すことに。ゴーストライターを本当の幽霊がやっていたり、死亡と志望、自己と事故といった言葉遊びが面白かった。あと、面接のときに履歴書代わりに提出した火葬許可書では、住所が和歌山県となっていたけど、この作品全体が和歌山の話だったのかな?
・第17話 Part B 永久就活霊 妹の結婚が決まったことにより、三鴨さんの婚活欲がいまさら高まってしまう。独身霊同士のマッチングなどを提案するものの、女住職さんに却下される。しかし、この三鴨妹が、第1話の人型USBカードリーダーのモデルになった人だったとは。つまり名前は、旧姓・三鴨みどりさんというワケか。
・第18話 Part A 手袋離合集散物語 前編 なぜか道端に落ちていることがよくある手袋。それが同じ場所にいくつも集まる様子を、交通量調査中の女性が目撃する。パートナーの老人男性に教えるために、一度道路を渡って写真を撮る → そのときに自分の手袋も落としてしまうという「あちゃー」な、脱力系のオチが良い。
・第18話 Part B 手袋離合集散物語 後編 今度は、手袋の持ち主たちが続々と集まってきて、そこで男女の恋愛ドラマ?がくり広げられることに。前編と同じくその全てを目撃していたバイト女性が、やっぱりパートナー老人に上手く事態を伝えられないという天丼オチなのが面白い。あと、ツイッターの情報拡散力ってすごいね。
・第19話 Part A メモリー・オブ・イサナ 前編 この連載が始まる前、ハルタの帯の裏にて連載されていた巨大少女が主人公。日本の港町に住む身長6メートルの女子高生 いさな と、彼氏の真田夕(通常の身長)とのやり取り。帯裏連載時は『巨大少女×建築物』というイラスト形式だったので、いさなの日常生活が垣間見れたのが良かった。ただ、部屋?が倉庫のようなところだったり、ハッキリとは描かれていない苦労もたくさんあるんだろうな。
・第19話 Part B メモリー・オブ・イサナ 後編 夕は東京の大学に進学することとなり、町に残るいさなとのあいだに距離が生まれてしまう。住むところが離れても、身長差が4メートル以上あっても、ふたりの心の距離は変わらないということか。パートAの最初とパートBの最後に出てきたクジラの別名が勇魚(いさな)というあたりが、ちょっとオシャレ。この話は、コメディテイストが抑えられた、すごく真っ当なラブストーリー。
・第8話 Part A ワラシベロンダリング 『プリカツ』というアイドルのゲームにハマっている みかちゃんだが、いかんせん子供なので注ぎ込める資金には限界があった。そこで『わらしべ長者作戦』を実行するが、なぜか姉・ひみこのパンツを売り一万円を手にすることに。そこから、あこがれのキャラクター・みるきの言葉に従い汚い金には手をつけまいとする、みかちゃんのプライドの高さが良かった。
・第8話 Part B ワンダーオブアンダー 姉・ひみこの彼氏もまた、プリカツ信者だった。しかも、いかなる媒体においても描かれることのない、みるきちゃんのパンツを見たいと願うパンツ求道者だった。ゲーセンでの、みかちゃんに対する不審者行動から再会してのパンツ問答も良かったが、ひみこは全てのことをパンツで解決しようとし過ぎだと思う。あと、この話の勝者は、結局パンツを買ったタケシ君なのではないだろうか?
・第9話 Part A 帆立女房 衝撃作。波打ち際で、ヒトデに襲われているホタテブラの女性を助けたら、本当のホタテで、お礼として貝柱を味わったらお前が生まれた。ということを父親から聞かされる和帆さん。23ページの3つの貝柱を味わうシーンとか、26ページの味噌汁調理シーンとか、それなりのエロ描写があるものの、それほど気にならないのは絵柄のせいか。愛の形は様々だと思うし、マンガはまだまだ奥深いなと思う。
・第9話 Part B 帆立祖母 時が流れ、和帆に娘が生まれる(ホタテの孫)。しかし、その真子ちゃんは、自分の祖母がホタテだということを信じられない。なので、お盆で帰省した真子の枕元にホタテさん(という呼び名でいいのかどうか?)が立つ。その後、和帆 → 旦那 → 父親と連続して、ホタテさんと再会するところのテンポが良い。
・第10話 Part A 棒井春男、職に就く 満月の日に自殺者が増える。といった風評被害を是正することを目的とした『満月地位向上委員会』(略して満向会)のかぐやさんは、金も仕事もない中年男性・棒井春男さんはが自殺しようとするのを言葉巧みに?阻止する。オチの「生きてれば そのうちツキも回ってきますよ」というセリフが、月とかかっているのも、地味に上手い。
・第10話 Part B 棒井春男、月を見る かぐやさんがお店(バニーガールのバー)を辞めて、地元に戻ることに。連絡先を交換しようとした棒井さんは、そこで再び満向会の実態を垣間見ることに。オチのつけ耳うんぬんの設定、満向会のことをカルト宗教と勘違いしたときの注釈、クリーンを必ず『クリィーン』と言うなど、小ネタが印象に残ったエピソード。
・第11話 Part A ユニットバスの花子さん ユニットバスのトイレに地縛霊 = 現代版花子さんが出現。部屋の持ち主の女子大生に、世界のトイレ事情などを聞かせる。半径1キロ以内のトイレにワープできるという設定や、次の話で旅行していることから、いろいろと話が広がりそうなので、シリーズ化してほしいところ。
・第11話 Part B 花子放浪記 屋久島編 女子大生が背負うリュックの中の携帯トイレに入った花子さんは、屋久島へ。雄大な自然と縄文杉を堪能する。一回成仏しかかったり、温泉に入って「生き返るっ」と言ったり、幽霊ジョークもキレている。外国のトイレ霊も登場したし、このメンバーで世界各地の遺跡や名所を旅しても面白いかも。
・第12話 Part A 狸谷わくわく動物園 すべての動物を、狸が変身してまかなっている動物園の話。業績回復のために、ゾウ導入を提案するマネージャーの吉津さん(この人だけキツネ)だったが、5.7メートルの体をタヌキ1匹で再現するのには無理があった。営業成績が悪化しているということを「はい右肩下がり」のひと言で済ませるコマが素晴らしい。
・第12話 Part B ニャンダルシア町田店 動物園は園長(人間)がトンズラしたので閉園。そこで働いていた1匹は、ネコカフェのネコに転職する。天職かと思われたその場所に、吉津さんがお客としてやって来る。 Part Aのときのクールなビジネスウーマン姿とは180度ちがう、デレデレ具合が最高だった。でも、ネコのふぐりをイジッでいたら、お店から止められるんじゃないの?
・第13話 Part A うちのかみさん 前編 哲二は、家の神棚に手を合わせてみる。すると、産土神(うぶすながみの すなちゃん)が顕現。縁結びに縁があり惚れっぽいすなちゃんに告白する = 徳を積むことで、哲二は見事宝くじに当選。3億円をゲットする。すなちゃんのおかげで、哲二に小さなラッキーが連続するところが面白い。
・第13話 Part B うちのかみさん 後編 高額当選した哲二は、連日遊びまわってドンチャン騒ぎ。放置状態のすなちゃんは、実家に帰ってしまう。仲直りから即結婚の流れもイイのだが、哲二が第1話の主人公と分かったり、神事部(人事部)や神族(親族)といった神ギャグみたいな細かい部分も良かった。
・第14話 Part A 仏アイドル あみたそ(阿弥陀如来)、のん(観音菩薩)、せっちゃん(勢至菩薩)の3人による仏アイドルユニット・AMD48のライブの様子が、ほぼ全編に渡って描かれる。第1巻では脱衣婆が音楽シーンでトップに上り詰めたし、阿弥陀如来も第7話に登場している。作者の得意な要素を上手くあわせた感じ。あと、ほとんどすべての作詞・作曲を勢至菩薩が担当しているけど、別に音楽に関係した仏というワケではないんだな。
・第14話 Part B 地獄アイドル 閻魔大王(♀)も、アイドルを夢見ていた(身長が10メートルあるので挫折)。経営するスナックに来た脱衣婆ちゃんが『歌ってみた動画』をあげていることを知ったので、自分も挑戦してみるが思いっきりディスられてしまう。しかし、通常業務中にファンの男性がやって来て……。アイドルは無理があるとしても、それこそデスメタルバンドのボーカルとかやればいいんじゃないだろうか?
・第3話 お祭りゾンビ・ロメ夫 モノホンのゾンビという所に目を付けられて、縁日のお化け屋敷で脅かし役をやることになったロメ夫。はじめは怖い雰囲気にビビッていたものの、後半は腸を出したり上半身と下半身が真っ二つになったりの大活躍。あと、墓石に映画のタイトルが書かれているけど(CHINMOKU NO YOUSAIとか)、これは作者の趣味なのかな?