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晴耕雨マンガ

天国大魔境の小ネタ募集中/6月は、天国大魔境、ヴィンランド・サガ。

テラン 2022 WINTER の感想




テランの感想です。









・表紙
折り返し部分から裏表紙まで、ギッシリとメイドさんに埋め尽くされています。壮観の一言。

・鋼の花嫁/あき
読み切り。結婚式の前日に轢き逃げに遭ってしまった花嫁のナズナ。気がつくと、体がサイボーグになってしまっていた。ストーリーのテンポ感がいいし、見開きの「この手に持っていたのはブーケだったのに」という決め台詞もカッコいい。あと、街に出たときにカップルが被っていたサクランボ型の帽子、あれなに!?

・知らないふりの国/はりかも
読み切り。幼いころから“お化け”を見ることができたガルム。母親の言いつけを守り見えないふりをしていたが、ある日ケガをした個体を見つけてしまい……。助かる(?)方向に行くと思っていただけに、ちょっと予想外のラストだった。ただ、母親の経験的に、いつかは戻ってこれるのかな?

・真夏の世界征服/犬島ななこ
読み切り。田舎の普通の学校に通っている魔王の娘の夏帆。ある日、父親が勇者に倒されたということをニュースで知り、心が不安定になってしまう。ファンタジー設定だけど、夏帆の境遇をいろいろと置き換えて考えることができる。ラスト2ページの演出が印象的。

・ハーメルンの窓/飴石
読み切り。帰り道にクジャクの羽根を拾った少女。しかし、家では親が……。物静かな展開の中で、クラスメイトの「勝手にどっか行かないでよ」というセリフが、なんだか心に突き刺さった。顔もしっかり描かれていないようなキャラなのに。

・青春の日陰/関谷あさみ
読み切り。文化祭で男女逆転喫茶をやることになり、制服を交換する姉弟。実際に学園祭の様子が描かれるわけではなく、家で着替えるシーンだけで終わってしまうし、なんとなく描きたいシチュエーション優先で描いたという印象。

・俺たちの非日常はこれからだ!/大武政夫
読み切り。実は炎が出せたり、透明人間になれたりするものの、活躍の場を見つけられなかった高橋くんたち。しかし、死の運命から逃れられないクラスメイトを助けるため一致団結する。前半はキャラの説明に割かれるが、状況が整ってからは大武節全開で面白さがドンドン加速していった。特に、立川君が新しい朝に目覚めるところ。

・ニジコと嫁入り/新井すみこ
読み切り。母親が新しくつれてきた父親候補が気に入らない虹子は、家を飛び出してしまう。そして、狐の嫁入りの行列に遭遇する。中盤の狐たちとのアレコレの楽しそうな雰囲気が良かった。特に子狐たち。最近は、こういう他人が家族になる系の話に弱い。

・夏と川と君と汗/小夏ゆーた
読み切り。飛び込み営業中に熱中症になりかけたサラリーマンが、JKに助けられる。溶けかけのアイス、汗だくの身体など、ウェットなシズル感たっぷりの内容。ただ、アイスを食べさせるシーンが2回あるので、どちらかは違うシチュエーションに変えたほうが良かったかも。

・こんなことがあったらいいのにな/津野みぞ子
読み切り。締め切り間際の漫画家と、リモートで仕事をしているアシスタント2人。漫画家の妄想話をアシスタントが実現させるが、そんなことが可能な機械はこの時代にはないはずでは……? オチは早めに読めてしまうが、それでもしっかりと面白い。

・スライムの作り方/コルシカ
読み切り。部分的に蛍光グリーンが使われている特殊印刷。主人公のやすしはイジメられているが、スライムづくりの本を読んで現実逃避する。家のシーンも2ページしかないが、良くない環境だということは推測できる。ポップな絵柄だけど、重ための内容。

・どうせ明日も同じ君/路田行
読み切り。毎日ダイナーに来る客の秘密を知ることになった店員のマリ。死んだ恋人のための生活から、強引に抜け出させようと考えるが……。序盤はコメディ風だったのに(急に壁の上にワープしたり)、中盤以降の転調具合が見事だった。特に279ページの「何も」。ラストも前向きで良かった。

・TOXiC/大塚いよ
読み切り。イケメンだがナンパが下手なサラリーマンが風俗店へ。しかし、そこはエッチなことをするのではなく、心のモヤモヤをスッキリさせる『共感風俗』の店だった。という設定が斬新だし、悩みを打ち明けるパートの雰囲気も良かったので、性風俗店ではないと分かった段階で勘違いさせるようなセリフ回しはやめても良かったかも。

・メイコの恋/イヌヅカヒロ
読み切り。サイボーグJKのメイコが、カフェの店員に恋してしまう。意を決して告白するが……。絵、ストーリーとも高レベル。機械なのに感情表現が豊かなメイコのキャラも良い。ぜひとも続編を読んでみたい。

・世界の秘密/松阪駿
読み切り。ある男子生徒の朝の様子を一人称視点で描く。占い1位とキャトルミューティレーションが、個人的には上手く結びつかなかった。

・魔法少女の妹/高橋夏臣
読み切り。美人で頭が良く、魔法少女としてバリバリ活躍している姉のユリア。妹の りん も特別な存在になりたいと願っていた。妹がこじらせて……、姉が妹の恋人に嫉妬して……と、いろんな予想を裏切る着地だったが、これで本当によかったのかどうか? 秒で家を追い出された妹の彼氏がかわいそう。

・花に紅/阿部伶
読み切り。道端でゲロを吐いている人を介抱したら、その人はSMの女王様でした。性に興味のある年頃の花ちゃんは、流れで緊縛されることに。SMが自然な欲求かどうかは置いておくとしても、もう少し盛り上がりどころが欲しかった。

・蜥蜴の流儀/佐久間葉
読み切り。蜥蜴という殺し屋の行方を追う女刑事の手伝いを、その蜥蜴本人がするハメになってしまう。ストーリーとしてはオーソドックスな部類だと思うが、蜥蜴の本心というか裏の顔が分かる展開は上手かったと思う。

・乙女椿の庭/綾城まめ
読み切り。庭師が探し出した乙女椿の花。それをとても喜ぶお嬢さん。2人の気持ちは分かるが、4ページと短い。せっかく半年に一度のテランなのに。

・月の人/合浜麗華
読み切り。月出身のアルスは、法律によって県外への外出は禁止されている。先輩との海を観に行くという約束は果たせないかと思われたが……。なんといってもアルスのキャラデザが素晴らしいと思う。重力が1/6の月で育ったので、体が大きく手足が細長い。同じ設定でもう一本読みたい感じ。

・坂の上の魔法使い/冬虫カイコ
読み切り。魔法が使えない人、使えても能力が低い人間をバカにしてきたアネモネ。しかし、彼女自身が魔法を使えなくなってしまう。これまでの価値観がブチ壊され、いままでの自分を省みる展開が良かった。442ページあたりからの花びらが舞い散るシーンの空気感も素晴らしい。

・私が舞台音響だった頃/ひらく
読み切り。作者が舞台の音響をしていたころの思い出エッセイ。マイクの仕込み方とかは勉強になる。ただ、ハルタの読書コーナーを担当されているとはいえ「急に自分のことを話し始めたな」みたいな感じもある。

・紅い夕陽の話/おく
読み切り。フルカラー。お花の稽古が嫌で逃げ出した少女。ある夢を見ようとするが……。何と言っても、見開きの白蛇の姿が圧巻。それから、絵に直接吹き出し用のスペースを描いているんだろうけど、絵は普通に描いて後で吹き出しを乗せる形にしたほうが良かった気もする。








前号に比べて薄くなっていたけど、読みごたえは変わらず。





















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テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2022/01/18(火) 17:51:03|
  2. Fellows! Q/ハルタオルタ/テラン
  3. | コメント:0

テラン 2021 SUMMER の感想




ハルタの新たな増刊誌。光り輝く『テラン』の感想です。




・表紙
あき先生が担当。なんといっても、キラキラした金箔加工のインパクトが強すぎる。裏表紙までつながっているデザインなので、これだけを額装して飾ってみたくなる。

・修理屋さんの朝/もりょ
巻頭フルカラー。ファンタジーと科学、魔法と機械が共存したような世界で修理屋を営む女性のモーニングルーティン。もうちょっと長いページで読みたくなる世界観。

・ファンタズム/三ッ葉稔
街に出現する悪霊退治をしているJK2人組。カラッと読みやすい絵だし、アクションの爽快感もある。ただ、もう少しストーリーに起伏が欲しかったのと、バトル担当の沙夜のスカートの短さとかが、なんとなく90年代っぽくて気になってしまった。

・日向インパクト/大島琳太郎
厳しい校則で生徒を徹底管理する学校。模範生だった日向は、発明品の暴走から不良生徒認定を受けてしまう。そんな彼女の前に、本物の不良と噂される藤岩が現れる。後半の校内での演奏シーン、それを聞いた生徒たちの外見が次々に変わっていく展開が素晴らしかった。

・全裸の夢と叶えるライン/樫木祐人
『湿原でピアノを弾く様子を全裸で見ていた』という夢の話をしたら、なぜか実現させることになってしまう。意味不明なことに全力を傾けるのも大学生っぽいし、実際に水上でキーボードを弾く姿の幻想っぽさと、それを見て小学生時代の想い出がオーバーラップするシーンが良かった。

・夜鷹心中/飴石
センターカラー。首斬り人の浅田が、深川へ切り取った小指を届ける。それを受け取った 粧い という遊女には、どこか見覚えがあった。特に後半の展開は鮮烈の一言。時代劇というのもあって、テラン全体の中でも強いインパクトを残したと思う。

・知らず知らずの姉妹/野澤佑季恵
大切なはずだったのに、どうしても思い出せない言葉。ソリの合わない作家の姉に聞いてみる。言葉探しのパートも面白かったし、正解を見つけてから姉妹の仲が修復される様子もよかった。2人が書いたメモを重ね合わせるコマが印象的。

・ふたりのチカラ/イヌヅカヒロ
傘を忘れた女性に、自分の傘を差しだす男性。自分は平気という理由は? 8ページと短いが、最後まで迷いなく突き進む確固たる信念がある。

・くちべにがしたい/三卜和貴
母親の口紅に興味のある凛ちゃん。こっそりと使ってみる。母親のマネをしたいのではなく……というのは早めに分かってしまうが、それでもラストの笑顔が楽しそうなのが良かったと思う。

・雨と遊園の街/岩宗治生
水たまりの向こう側にある遊園地。子供のころに何度も遊びに行ったが、いつしか夢と思ってしまうように。しかし、ある日、路地裏の喫茶店に入ったことから、再び遊園地に行くことになる。クライマックスシーンがカラーになり、しかも織り込みページという豪華さ。終わり方も含め、続編を読んでみたくなる。

・ゲッカビジンと月の光/楽弌思慕
人間の少女アイリーンは、エルフ(妖精サイズ)のビビアンに告白するが、見事に玉砕。しつこくつきまとっていたら、ある条件を提示される。ビビアンの過去の出来事に関するモヤモヤを、一途なアイリーンが突破する展開も良かったが、協力者のネコ耳少女の蘭ちゃんが気になった。

・せんぱいとサーフィンと私/波花
憧れの先輩に近づくため、サーフィンに挑戦する少女。基本的には百合なのだが、ほとんどがサーフィンのシーンで、特に2人一緒に波に乗った場面は達成感と爽快感があって良かった。

・弟なんていらない/洲澤麟太郎
ケンカしてしまったので「弟なんていらない!」と思った姉。すると、弟のいないパラレルワールドに迷い込んでしまう。ひとりっ子生活を満喫するが……。ラスト前の戻る戻らないの逡巡にもうちょっとボリュームを割いてほしかったところ。

・お兄ちゃんのバカ/天野実樹
家を出ることになった兄。引っ越し準備が進むが、妹は素っ気ない態度を崩さない。最後までツンを貫いたのが良かった。ここの弟 → 兄の掲載順は、意図的なものなんだろうか?

・黄金の秋/かわもとまい
捨て去られた中立地帯。瀕死の状態で発見された軍人を闇医者が勝手に治療する。ハルタで連載している『アンリの靴』とは違った、辛く重たい内容のストーリーに引き込まれた。それでも、ラストが前向きなものなので救われた感じ。

・はなぶさ/綿野マイコ
幼いころ死んでしまった弟の代わりとして生きてきた姉の お英。しかし、女性であることが周囲の知るところとなり、普通の女性として生きていくことになるのだが……。お英の戸惑い具合もいいのだが、なんといっても420ページからの見開き2連発が最高だった。新たな出発となる締めくくり方も良い。

・恋する彗星/浪川修作
巨大隕石が地球に衝突するという日。それでも、先輩(男)と後輩(女)は、汚い部屋でぷよぷよするのだった。つかず離れず、やっぱり最後に……という感じがもどかしかったが、先輩の恋心と隕石がリンクしていたってことでいいのかな?

・プリティ・エンカウンター/家路ゆこさ
奇妙な小型宇宙人と遭遇したOLの壇さん。チョコで手懐けるが、いろいろと大問題に発展してしまう。ギャグ担当だと思うのだが、いまいちキレがなかった印象。宇宙人の造形は悪くないと思うんだけど。

・八重樫さんへの駄菓子飯/佐久間葉
料理&節約が得意な高屋君が駄菓子大好きな八重樫さんに、駄菓子を使った料理を作ってあげることに。これ各メーカーに協力してもらって、ちゃんとレシピも考えたら正式連載もいける企画なのではないだろうか? ラストの恋愛未満感も良い。

・海の向こうの遠い国/松本水星
世界を飛び回っている妹からのハガキを読んで、どんな国なのかを想像する姉。作中に名前が出たラッカ羊、無茶苦茶カッコいい角じゃないか。

・ゼラニウムの庭/三星たま
演劇部で代々引き継がれる重要な役を任されることになった天竹さん。演技に悩んだまま寝てしまうと、後輩の葵君と立場が入れ替わっていた。演じるとはどういうことか?みたいなところは答えがないので難しかったが、552ページからの見開きは素晴らしかった。三星先生は、印象的な表情を描く。








全編読み切りで、読みごたえは抜群。ハルタが休みの月の発売なので、次は来年1月の予定です。














テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2021/07/17(土) 15:22:02|
  2. Fellows! Q/ハルタオルタ/テラン
  3. | コメント:0

ハルタオルタ 2019AUTUMN の感想




ハルタオルタの感想です。ハルタ初の増刊号



・80's video trip/赤瀬由里子
フルカラー読み切り。ケンカばかりの両親。父親の部屋にあったビデオテープを観た息子は、これまでの考え方を改める。(たぶん)アナログ塗りの感じが、80年代当時の空気感を再現するのに役立っていたと思う。現実と映像がオーバーラップする、22~23ページが良い。

・ナイトゲーム/山本和音
読み切り。ドラフト指名確実の光浦。幼なじみから久しぶりの連絡を受けるが……。後半の、夜の闇とパトカーのライトに照らされた画面構成が素晴らしい。2人の人生も、これから光と陰に……みたいな感じなのかな。

・黒髪を舞うころ/黒川裕美
読み切り。舞妓として最後の日を迎える、小ふみ さん。しかし、着付けの男衆がいつもと違う人で……。もう、これは作者が「着物が描きたい」の一念で描いたものだな。

・ハートのお仕事/富沢未知果
読み切り。AIの導入が決まり、キューピッドをクビになってしまったリア。なぜか、そのAIキューピッドのツバキの仕事を手伝うことになる。全体的にはイイんだけど、電源が切れるところがちょっと分かりにくかったような。

・うすべに/樫木祐人
読み切り。売れない画家の芳野。ある人物に、決死の覚悟でモデルの依頼に行く。作者のハクミコ以外の作品は、Fellows! vol.13の『柿塚君のお見舞い』以来だと思うから、約9年ぶりということか。

・ゾンビのビビ/福島聡
読み切り。人類がゾンビ化した世界。カギの閉まった学校の中に入ろうとするゾンビ少女・ビビを、半ゾンビ状態の保健の先生が見守る。全身にガラスが突き刺さっているのに、ここまでカワイイのはスゴイことだと思う。

・円楼暮らし/サカノ景子
読み切り。円形の土壁で囲まれた中国の集合住宅・円楼。そこに住む夕凛は、極度の人見知りだった。そこで同居する玉蓉姉さんは、荒療治を思いつく。絵の上手さ、夕凛のカワイさはピカイチ。でも、円楼特有の…という部分はどうかな?という感じ。下町っぽさはあったけど。

・午前1時の同窓会/松本水星
読み切り。かつては優等生と劣等生。しかし現在はホストと弁護士となった旧友2人が再会。“同窓会”をすることになる。ホストの赤月のほうが、ときおり狂気に満ちた表情を見せるのだが、特におかしな方向に展開していかなくて良かった。

・ククリヒメ/長蔵ヒロコ
読み切り。誤って蛇の卵を踏みつぶしてしまった侍。わずか4ページだけど、ゾクリとさせられる。

・テイラーとクリスの事件簿/佐々木尚
読み切り。死体も生きている人間も苦手なテイラー刑事と、その甥で助手のクリスの凸凹コンビが、謎の転落死事件を追う。まずメイン2人のキャラが立っているし関係性も良い。捜査パートも地味だけど適格だし、再登場に期待したいです。

・魅惑のタピオカミルクティー/山本ルンルン
読み切り。人気のタピオカミルクティー店でバイトを始めた左内は、その美味しさの秘密を知ってしまう。ホンワカムードで終わるのかと思ったところからの、ホラー?オチが良かった。

・スター・ドリーマー/三星たま
読み切り。『星の草』を盗もうとした罪で捕まってしまったハシモト。刑を執行される前に、様々なリフレッシュを受けることに。なんとなく分かるものの逮捕した組織には、もうちょっとハッキリとしたものが欲しかった。でも、少年ハシモトの「お空のデザイナー」というのは、良い言葉。

・夏の夜/高橋那津子
読み切り。久しぶりに帰省した亜矢は、風貌の変わったハトコの由希に振り回されることに。傷跡を見せたお返しに胸を見せるというのが、ちょっと分からなかった。全体的な雰囲気はいいんだけども。

・預言者カロン/右野マコ
読み切り。カロンは7日後に地球が終焉することを預言する。彼の父親が教祖を務める教団は、それを阻止するためにテロ紛いの行動も起こしていた。カロンと同世代の男の子2人との会話は緊張感がなくて良かったが、全体的にはもうひと捻り欲しかったところ。

・洋裁店の蝶/高江洲弥
読み切り。冴えない見た目のデザイナー・もさちゃんの作る服を気に入っている月子。発注したワンピースを試着しにくるが、その傍らには恋人の姿が。月子のほうは分からないけど、もさちゃんのほうは間違いなく好意を持っているよね。彼氏が、いわゆる百合の間に挟まる男というわけか。

・不利な相手/佐々大河
読み切り。空手部内最強の浦野先輩(♀)。身長が低い才野だが、見事に一本を取って見せる。部長のアドバイスが、ラストで別の意味を持ってくるところが良い。バードさん以外の作品は、特典などを除けば初掲載か。

・愛の焦土/吉田真百合
読み切り。地球侵略真っ最中の父親から、ゴッホの『ひまわり』をお土産として受け取った兄は、それに魅入られてしまう。心配した弟は、実際に地球のひまわり畑に行くことを提案する。本物のひまわりに囲まれた絵画のひまわりの見開きの雰囲気は良かったが、まさかそこからダークな方向に転調してしまうとは。インパクト大の内容。

・100人の百子さん/川田大智
読み切り。見た目も性格も同じな、100つ子(?)の宮原百子。その賑やかな日常生活。作者が望んだテーマだろうけど、単純にコスパが悪い気がする。トビラとか告白の見開きとか。

・豪烈送球/浜田慶亮
読み切り。ハンドボール全国大会決勝の激戦が描かれる。試合を観たことがないしルールもよく分からないが、熱気がビンビンに伝わってくる。ただ敵役の高校とはいえ、冥星って校名はどうなの?

・ランランランダ/冨明仁
読み切り。いつのまにかシッポに結ばれたリボンを取ろうと、チーターのランダが駆けまわる。ほぼ全編にわたって、ランダの姿が生き生きと艶めかしく描かれている。ヤスミーン以来のチーター漫画の傑作。

・つきの裏側/仁科彰太朗
読み切り。冷蔵庫に魚肉ソーセージ1本しかない主人公が助けを求めた友人。まぁ、この2人の関係性をもうちょっと深堀してほしかったけど、8ページだとしかたないか。あと、LINEの日時が2016年なのも気になる。

・彼らのルナシー/井上きぬ
読み切り。夜に踊ることを止められないスペンサー先生。そのことから学校では幽霊の噂が持ち上がり、同僚のアラン先生にも秘密を知られてしまう。ところどころで、月の光に照らされて服越しに透けているスペンサー先生の身体を描いているのが、フェチズムだなと思う。

・アダンソンちゃん生活史/長沼修
読み切り。タイトルの通り、アシダカグモの生活の様子。これは続編というか、シリーズで何本か読んでみたい。クライマックスはゴキブリ戦だな。

・世界には僕らしかいないからさ。/百名哲
読み切り。仲のいい村上と脇坂、男子2人の話。BL寄りのブロマンスというところだけど、プラスチック粘土のパートにページを割きすぎのような。

・緋袴をぬがさないで/佐藤春美
読み切り。通常25歳までの巫女さんが着ることのできる緋袴を、30歳目前になっても着続ける木蓮さん。ひさしぶりに再会した幼なじみのために、厄払いをする。餅小町より、こっちのほうが話を広げられる気がする。

・琥珀の鳥の夢/丸山薫
読み切り。表向きは優秀な教育者の義父から虐待を受けていたジャイルズは、琥珀の中に閉じ込められていたハーピー(?)にエーレと名前をつけて、心の拠り所としていた。614~615ページの見開きが印象的だし、オチのつけ方も最高。さすがの実力という感じ。

・子連れ魔王/嵐田佐和子
読み切り。世界征服を目指しながら、子育てにも励む魔王。という4コマ。っていうか、夫は人間だったのかよ。OKなの?そのへん。ネタとしては、ゲップのヤツが良かった。

・ラークの大冒険/大武政夫
読み切り。猫の獣人に命を救ってもらったラークは、友情を育む。のかと思ったら、最後の1ページでひっくり返された。しかも、女の子だったとは。

・おかあさんといっしょ/かまぼこRED
読み切り。ひさしぶりに戻った実家で、母親の遺体を発見。娘はひとりで片づけをする。そこにいない母親との会話シーンも良かったが、1ページ目のナレーションが五七調になっていて、ものすごい心地よいテンポ。

・みちのくピンポンステーション/渡邉紗代
読み切り。駅の待合室に卓球台を置いて、お客様に楽しんでもらおう! 主人公・小待が壁打ちを始めてから、事態が好転していく流れが気持ちいい。

・浴槽のシンデレラ/四方田千紘
読み切り。引越し先のお風呂には、幽霊の足だけが浮かんでいた(空中に)。しばらくは気にせずに生活を続けていたが……。686ページで見た幽霊本体は、自分自身だったのかどうか?

・青い夜/namo
読み切り。校内で先生同士がおっ始めてしまったので、隣の部屋(化学準備室?)から出られなくなってしまった2人。そこで女子の島村は「愛が先か性が先か」という問いを、男子の黒田に投げかける。エロ方面のインパクトは絶大ながらも、話の構成もしっかりしていると思う。

・Lemonade Girl/西原優葵
読み切り。ビルのオーナーの少年。でも、ナメられてテナント料を回収することができない。見かねたレモネードガールが立ち上がる。申し訳ないけど、画力が足りないのかアクションシーンなど分かりにくいところが多かった。これがデビュー作とのことなので、今後に期待したい。

・竜巻狂い/加藤清志
読み切り。竜巻を追って写真を撮るストームチェイサーのミシェル。彼女は商売敵のマイクが写真よりも人命救助を優先する現場に立ち会う。絵のクセは薄くなったけど(それでも見開きの悪魔のような雲の描写は流石だけど)、セリフ回しは相変わらずの熱量。ヒット台詞は「このドブゲロ偽善者が!!」。

・捨て丸さま/氷堂リョージ
読み切り。物を捨てられないOLの汚部屋に、物を捨てられない怠け者を罰する神・捨て丸さまが顕現。不用品を片っ端から消滅させていく。断捨離ノウハウなどはハルタというよりも主婦系の雑誌に載ってそうな切り口だったが、水晶玉の反撃のところと、オチのつけ方が良かった。再登場していただきたい。

・俺が一番愛してる!/八重樫莉子
読み切り。学園一のアイドルに片思いの男。なぜか事が上手く運び、2人きりになり告白までこぎつけるが……。彼女のほうも実は……というところは分かるが、オチというか最後のページが分かりにくい。チェックを入れるなら、そこじゃなくて一番下のところじゃないの?

・マイ リトル サーモメータ―/押岡大和
読み切り。気温によって外見の年齢が変わってしまう妹と、その世話を焼く姉の話。これはアイデアの時点で勝ち!という感じ。もっといろんな季節やシチュエーションの話を読んでみたい。ところでマイナスの気温だと、どうなっちゃうの?

・Lingerie Hunt/都森れん
読み切り。メインの少年が実は下着泥棒でした~という話。まぁ4ページなので仕方ないかもしれないけど、下着を描きたいなら別の切り口もあったのでは?

・星の手遊び/紙島育
読み切り。空の神様は、戯れに指を星で弾いてみる。最初は可愛いと感じていた人間に対する、感情の変化。特に「うるさいわ」の見開きの狂気性が見事。

・泡沫サンセット/かわもとまい
読み切り。恋愛体質のJKが失恋の愚痴を、海洋生物オタの女子に聞いてもらう。871ページの「ずっとずーっと友達だよ」というセリフが、どれだけ残酷なことか。ウミガメの化石が、グロくて象徴的。

・ノウゼンカズラの家/福浪優子
読み切り。家の片づけをする老婦人。そこに一匹の子猫が迷い込んでくる。タイトルの意味が分かる後半の回想シーンが良い。猫の描き方が、なんとなく五十嵐大介っぽい。




今後もハルタが休みの月に発売してほしいところ。あと、この号でFellows!時代を通じて初めて電子版も発売された。これは、次号のハルタにも適用されるのか?















テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2019/09/18(水) 20:29:43|
  2. Fellows! Q/ハルタオルタ/テラン
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Fellows!Q Q.E.D. の感想

Fellows!(Q) 2012-AUTUMN Q.E.D. (ビームコミックス)Fellows!(Q) 2012-AUTUMN Q.E.D. (ビームコミックス)
(2012/09/15)
樫木祐人、九井諒子 他

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フェローズQの感想です。


・表紙/樫木祐人
表紙は、本誌で連載中の『こびと日和』。裏表紙では、これまでの登場キャラたちが集合していて、にぎやかな感じ。

・120Kgの純情/犬童千絵
読み切り。ケガをして入院することになったクソ真面目な純情ガテン男、同僚で元気のいいラテン女、ぽっちゃりナースの奇妙な三角関係。この人は、一時期とてもダークな内容の作品が多かったけど、こういう明るい路線に戻ってきてくれて良かったと思う。

・天女の羽衣/吉元ますめ
読み切り。久々のフェローズ復帰作。はじめは中国風のファンタジーかと思いきや、そこから羽衣を盗んで暴走した猿と天女に「やらせろ」と迫る煩悩まみれの僧侶の戦いになり、勝利した僧侶が悟りを開くという、テンションの上下動が激しい内容。なんか、上手くついていくことができなかった。

・風邪バケーション/吉田覚
読み切り。部屋の中心にベッドを置き、その周りに必要なものを全て配置、甘いものをたくさん食べたりお笑いのDVDを見たり、風邪を理由にダラダラとした生活をエンジョイする姉と、それに振り回される弟の話。普通とは逆に病気の状態を楽しみ、治ったらバッチリ切り替える姉の様子が良かった。

・犬谷家の人々/九井諒子
読み切り。ふらりと現れる探偵、秘密を隠そうとする謎の一族、そして起こる連続殺人…と、ミステリのフォーマットを逆手に取ったコメディテイストの強い一作。作者の懐の深さを改めて感じさせられた。10月に発売される単行本も楽しみ。

・乱と灰色の世界/入江亜季
番外編。乱と仁央ちゃんがお風呂に入るために、いっしょに大人に変身する。本編のほうが重い雰囲気になっているので、こういう単純な話はイイ。

・乙嫁語り/森薫
番外編。カルルクの母親サニラが熱を出してしまう。夫に汗を拭いてもらう様の、まぁエロいこと。あと、カルルクのときと同じようにオロオロするアミルさん、カワイイ。

・ストラヴァガンツァ/冨明仁
番外編。今回は、ドワーフの一団の話。ルックルをはじめとする純粋なドワーフは木の実やキノコを食べ、パッチンコで大キツネを撃退するのに対し、人間の血が混じっているというバリキンはオノを持ち肉を食べたがるというのが、イメージとは正反対のギャップで良かった。これは本誌で連載しているものと同じ世界観ということだが、内容もリンクしてくるんだろうか?

・ヨメがコレなもんで。/宮田紘次
久々の掲載で3本立て。1本目は擬態スーツのチャックが試着中の水着を挟んでしまう。2本目はダンナとペットの宇宙生物デラの意地の張り合い。3本目はヨメがお風呂に初挑戦する思い出話。やっぱり、面白いですね。

・色男は下着が嫌い/梶谷志乃
読み切り。超能力を使う刑事とフルフェイスのヘルメットを被ったスリとの、周囲を思いっきり巻き込みながらの追いかけっこ。要所要所での見せ方は上手いと思うけど、それがバラバラでひとつにまとまっていない印象。タイトルの意味もよく分からないし、終わり方も唐突すぎると思う。

・墨色プロジェクション/新居美智代
読み切り。リア先生シリーズ第3弾。リア先生が幼いころに食べたという『マッシュルームの形をした和菓子』の正体を探る。結果的に瞬の親戚の和菓子職人が謎を解いてくれるのだが、その人のリア先生に対するセクハラめいた行動と職人としての確かな腕前という二面性が、個人的には上手く消化しきれなかった。

・ハッピーアワー/真田順子
読み切り2本立て。1本目はフラれたばかりで合コンに参加する男が、2本目では無愛想な下着販売員の女性が、名前も分からない謎の女性とふれ合うことによって笑顔を取り戻す、という話。ただ、話の中心の女性が、あまりにも謎すぎるため、ちょっと置いてけぼりを食らったような感じ。

・薄玻璃の鏡/天野タカ
魔女マリーシリーズ。今回は、場末の娼婦の願いを叶えようとするが、それは謎の男『ST』の策略の一部だった。ハルニレが深手を負ったり、これまでとは違って一気に重たい雰囲気に。続きはフェローズ本誌で掲載されるそうです。

・吸血鬼は牙が命/長谷川舞里絵
読み切り。吸血鬼の女の子ズミューが虫歯になり歯医者に行くことに。待合室で盛大に吸血行為をしている割に、歯科衛生士たちが終始当たり前のようにスルーしていたり、なんかストーリーに入り込めなかった。

・グルタ島日記 東の森水道局/だいらくまさひこ
読み切り。フェローズで連載されていた『グルタ島日記』の番外編という感じ。複雑に絡み合った木の枝と葉の上に暮らす人たち。水も木が吸い上げるものを利用しているのだが、ある母娘が住む家では水が出なくなってしまった。修理に来たどこか頼りない男が突き止めた原因から母親の記憶がよみがえり、それが娘へと受け継がれていく流れが良かった。

・こびと日和/樫木祐人
Quietで掲載された『足下の歩き方』が特別再掲載。ハシラ部分では『こびと日和余話』と題して、2人が暮らす世界の豆知識を紹介してくれるのがありがたい。フェローズ側は、この作品をプッシュするつもりなんだというのが伝わってくる。

・ウルトラロングポスター/宇島葉
巻末特別付録。本誌帯裏で連載されている『巨大少女名鑑』の特別版として、長さ1メートルを越える大きなポスターが付いています。一度広げると、また折りたたむのが大変。


これで『フェローズQ』は終了。これまでの3号で得た“解”を、本来ならこの号から連載が予定されていた、吉田覚、梶谷志乃、真田順子あたりには、年10回発売になるフェローズ本誌で証明してほしいところです。




テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2012/09/17(月) 16:39:02|
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Fellows!(Q) QUEEN の感想

Fellows!(Q) 2012-SPRING Fellows!(Q) 2012-SPRING
(2012/03/15)
不明

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フェローズQの感想です。今回はサブタイトルの『QUEEN』のとおり、読み切り作品は『女王』をテーマにした内容になっています。

・昼下がりの女王様/中村哲也
読み切り。クラスで居眠りしている女子に女王様の格好をさせたら何故か堂に入っていて、その理由は…という話。とちゅうで上級生や演劇部の顧問が乱入して来たり、10ページの割には内容を詰め込みすぎた感じ。

・乙嫁語り/森薫
特別編。今回は、カルルクの祖母バルキルシュが主人公。高いところから降りられなくなった子どもを助けるためにヤギにまたがり岩山を登ります。単純にカッコいい。

・蜂矢乙女の魔球/福島聡
6話目。今回は『マウンドの女王』ということで、乙女が憧れる熊田さんが主人公。チームメイトのほとんどがカキにあたってしまたので、自分ひとりで試合をコントロールする。しかし、あと一球いうところで乙女と交代させられてしまう。当然面白くないわけだけど、これが今後に何か影響を及ぼすんだろうか? あと、リリーズの選手って、みんな動物の名前が入っているのね。

・アフィーマ/高田健一
読み切り。『女王』がテーマなら、この人がいないと始まらない。ということで、姫とろみ先生が登場。朝起きたら、姫の王冠ヘアの真ん中がなくなっていた!?という話。ちゃんと、1コマ目で答えが描かれているのがイイ。

・修学旅行の晩に/市川和馬
読み切り。修学旅行の夜。部屋に男女3人ずつが集まって王様ゲームをやる。そのわりには、あまりエロいことにはならなかった。冒頭の靴下を口で脱がせるシーンのみ。テーマが『女王』なんだから、最後だけでなく女性陣が続けて王様になって、男たちに無理難題を吹っかければよかったのに。

・姉は女王、僕は下僕。/夏本満
読み切り。タイトル通りの内容。家でも学校でも女王のように振る舞う姉イクと、言うことをきくしかない弟マサルの話。女王のように行動するようになった理由、同級生タケシへの恋心、マサルの現状への不満や戸惑いといった要素が、イマイチ練りきれていなかったように思う。

・雪はそんなにきれいじゃない/松本結樹
読み切り。いままで自分勝手に雪を降らせ空を荒れさせてきた雪の女王。しかし、そのことで多くの人が傷ついていることを知り自信を無くしてしまう。ありがちな設定ながらよくまとめているし『女王』というテーマもしっかりと消化していると思う。

・机上の王国/牧田真希
読み切り。引きこもりでネットゲームに夢中になっている姉。弟は心配するが、姉はゲームのために自治や関税の本を読んだり街の模型を手作りしたり、どんどんのめり込んでいく。そして、ついには現実の世界と行き来できるところまでゲームの世界を発展させてしまった。この人は、前作ではマクロからミクロまでを描いていたし、こういう別次元をつなぐ話が得意なのかも。

・メランコリック卑弥呼様/睦月のぞみ
読み切り。日本最初の女王。卑弥呼様が主人公。「彼氏が欲しい」という卑弥呼様に侍女たちが用意したのは、人間の男じゃなくて…という話。いつもどおりのテンションです。

・三星女子高秘密倶楽部/真田順子
読み切り。勉強が嫌いな女子3人組が『学校の女王』になって勉強しなくてもいい学校を作ろうとするが、結局グダグダになってしまう。1ページ目のハシラにある『8度目の読切作品!』という言葉は、なんとなく『未完の大器』と同じ意味のように感じる。

・墨色プロジェクション/新居美智代
読み切り。リア先生シリーズ第2段。金髪巨乳美人のリア先生に対抗する、黒髪大和撫子の古河ゆかりさんが登場。瞬をめぐって火花を散らします。リア先生の言葉で、クラスの全員が集中して習字を書く見開きが良かった。あと、タンクトップ一枚になって習字に挑戦して顔や胸に墨が飛び散るリア先生に対して、古河さんが「あざといわ…」と思うのを見て、今年のネット流行語はコレだなと思いました。

・アマゾネスの掟/菊池るち
読み切り。女のみが生きるアマゾネスの王国で、女として育てられた男の女王の話。ガチムチな体型と女王という肩書のギャップが面白いし、見開きの鉄拳制裁も爽快だった。このままシリーズ化しても面白そう。『女王』というテーマで、素直に『女の王様』を描かなかったことを評価したい。

・ミアのケーキは甘すぎる/長野香子
読み切り。雪と氷の町にやってきた絶世の歌唱力を持つ女性。バンドメンバーや追っかけファンだけでなく、はじめて会った町の少年ペーターも虜にしていく。この作者独特のセクシーさみたいなのが、作品全体に漂っていて面白かった。パンツ一枚の上にコートだけ羽織って酒瓶を持っているというのは、確かにロック。

・波紋の虚、魚遊の実/犬童千絵
読み切り。狛犬のような謎の動物を飼い馴らす皇女の夏宮と、盗賊の女頭目・凛の一騎討ち。他にアクション作品がなかったので面白く読めた。あと、盗賊の中にモヒカンがいるというのは、もう時代を超越した様式美なんだな。

・女王陛下と黒い波/天野タカ
魔女マリーシリーズ。いちおう、今回からフェローズからQへの移籍ということらしいが、いつからフェローズで正式に連載していたのか分からないので、いまいちピンとこない。今回マリーは、家臣や国民を信じることのできない女王の望みを聞く。女王と唯一信頼している騎士以外の人物の肌の部分を黒く表現しているのが、おとぎ話のようで良かった。

・女王陛下の天気予報士/澤江啓太
読み切り。一風変わった方法で天気をピタリと当てる王室付きの気象予報士のマイルスの話。新しく秘書になったマリーは、彼の能力を使って一儲けをたくらむが…という感じ。マイルスの女王への一途な忠誠心が良かった。かと言ってマリーも悪いわけでなく、この2人のやり取りは、もっと見てみたい。

・われらが女王は今日もこの奥で…/吉田覚
読み切り。若い衛兵2人と若くて目つきのおかしな女王の話。変化球と見せかけたストレートなオチ。このQが始まる前後からちょっと作風を変えてきたけど、それも板についてきたという感じ。

・ソシアル・タブーは華やかに/若槻久美子
読み切り。デビュー3作目とトビラにあるが、もっと長く描いている印象を受ける。お忍びで出かけた本物の女王がソックリさん専門のストリップ小屋の主人に目をつけられてしまう。『ダイミダラー』や『兎の角』なんかじゃ乳首が出ているけど、そういうのとは一線を画すエロさ満載の内容。オチの前で一気に立場が逆転するのも痛快。

・乱と灰色の世界/入江亜季
特別編。今回の表紙を飾っている『魔女の女王』静が、まだ17歳のとき各地を放浪していたころの話。ゴリラの食事を食べつくしてしまったり、まだ完璧でないというのがイイ。前回の凰太郎の話は本編に反映されたけど、これもリンクしていくんだろうか?

・鉄仮面ビビアン/冨明仁
読み切り。温泉でも決して鉄仮面を外さない17歳の女王・ビビアンが主人公のコメディ2本立て。いい意味でも悪い意味でも好き勝手やっている。なんか、エルフの裸が描ければ、あとはどうでも良かったんじゃないかと思えてくる。

・梅小路さんとひな祭り/緒方波子
2ページのショート。梅小路さんと猫雪が家のお姫様の座をかけて戦います。そういえば『女王』というくくりでお雛様を描いた人はいなかった。3月発売の号なんだから、誰かテーマにしてもよさそうなのに。盲点だったんだろうか?


次号から『1話60ページを超えること』『魅力的なキャラが多数登場すること』『能力の限界まで作画を頑張り続けること』の3つを条件に、真田順子、吉田覚、梶谷志乃の新連載がスタート。今回は『女王』というテーマで苦戦しているように感じられる作家もいただけに、次号はサブタイトルの『Q.E.D』をテーマに競争するグループと、自由に描かせるグループに分けたほうがいいのではと、思います。








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  1. 2012/03/18(日) 20:14:22|
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