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晴耕雨マンガ

天国大魔境の小ネタ募集中/6月は、天国大魔境、ヴィンランド・サガ。

最近買ったマンガの感想 2023春

ここ半年ぐらいで買ったマンガの感想を、まとめて書いていきたいと思います。









・ROPPEN‐六篇‐/宮下暁/小学館
殺し屋をターゲットにする殺し屋の男が、ある危険国家の次期当主を決める代理戦争に参加することに。アクションはケレン味たっぷりでバリバリにキレているし、『孤独』や『足男』といった相手の殺人鬼のキャラの濃さも面白い。今後もどんなクセの強い相手が登場するのか楽しみ。


・パラレルリープ・シンドローム/タカハシノブユキ/少年画報社
想いを寄せていた相手が結婚し、傷心の主人公。迷い込んだ喫茶店から並行世界に行けることを知り、なんとか彼女と結ばれる世界線にたどり着こうとする。冒頭の「知らぬ存ぜぬスットコドッコイ」とか、セリフのリズム感が素晴らしいし、ギターをかき鳴らしたりといった絵の小ネタも効いている。今の時点で実写化確実なのでは?


・気になってる人が男じゃなかった/新井すみこ/KADOKAWA
ツイッター上で話題になっていた作品の書籍化。JKがCDショップで見つけた推しの店員は、実はクラスメイトで……。背景に使われている黄緑が鮮やかで目に新しいし、メイン2人の関係性の変化も良かった。ただ、次巻以降はもともとの友人が絡んできてドロドロした関係になりそうなのが心配。


・気絶勇者と暗殺姫/のりしろちゃん 雪田幸路/秋田書店
強さは一級品ながら対人スキルが皆無の勇者トトと、彼を様々な理由で狙う女性3人のハーレム?ラブコメ。トトを狙うときよりも、女同士でアレコレしているシーンのほうが個人的には好き。勇者の強さは努力の賜物のはずなので、どんなスキルを持っているかも気になる。


・バーサス/ONE あずま京太郎 bose/講談社
魔王軍相手に滅亡寸前の人類。そこで取った対抗手段は……。設定の大胆さ、スピード感のあるストーリー展開など、グイグイ惹きこまれる面白さがある。現状は天敵同志を争わせようという作戦だけど、ある世界の武器は、別の世界の天敵に効果抜群。みたいな展開も読んでみたい。


・私のアリカ/藤沢もやし 隈屑。/講談社
人気絶頂のアイドルグループのセンターが突如失踪。旧友のヤンキー女が事件の真相を探るために、新メンバーオーディションに参加する。犯人捜しのサスペンス要素とアイドル成長ストーリーが、両輪として上手く機能していると思う。すでに脱退しているメンバーが重要参考人だと思う。


・這い寄るな金星/華沢寛治/小学館
互いの彼氏を寝取ったり寝取られたりの、ドロドロ激重感情が渦巻く姉妹の愛のバトル物語。第1話を踏まえると今後数年にわたってこういった関係が続くということで、気が重くなると同時に目が離せない。後半に登場したサッカー部のマネージャー2人が、上手く関係性をかき乱してくれれば。


・植物病理学は明日の君を願う/竹良実/小学館
イケメン准教授が、植物の病気にまつわる謎を解いていく。植物病理学というテーマが新鮮だし、1話ごとの密度が濃くスピード感もあって満足度が高い。冒頭からドアに激突するという破天荒っぷりを見せつけた助手のクマコにも何か裏があるようで、今後へのヒキもバッチリだと思う。


・宙-CHUU-/手原和憲/小学館
サッカーから離れるためにお嬢様学校に進学したものの、変人集団と出会ってしまいフットサルの道に進むことになった主人公。手原先生の作品なので、サッカー描写の素晴らしさは言わずもがな。特に1話目のパントキックが素晴らしい。ここから物語が始まる!という躍動感がある。


・メガロザリア/みやまるん/KADOKAWA
目の前で殺人を目撃すると過去にさかのぼれる魔女の能力を利用して、性悪女が生き直しての成り上がりを目指す。でも、個人的にはこの2人の悪事を暴こうとする、パメラたちのエピソードのほうが気になってしまった。魔女メルディが、悪女ロザリアと会う前にしたであろう能力発動のタイミングがいつで、どんな理由なのかっていうのがカギになりそう。


・平和の国の島崎へ/濱田轟天 瀬下猛/講談社
子供のころからテロ組織に育てられた男が帰国。一般人の生活に馴染もうとしつつ、戦場で培った技術でトラブルを回避する。というハードボイルドとホッコリ系のバランスをとってストーリーが進むのかと思っていたら、1話最後のナレーションで一気に非常な現実に引き戻された。


・戦車椅子/やしろ学/講談社
頭に銃弾を受け植物状態になった兄は、殺意を向けられた時にだけ意識が戻り、殺し屋の本能がよみがえる。妹がリハビリとして危険な仕事を請け負うのはともかく、刺客すら差し向けるというところにビビった。車いすを駆使したアクションも目新しく、動きもキレッキレ。













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テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2023/05/06(土) 18:23:49|
  2. 新刊感想まとめ
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メガロザリア 第1巻の感想





邪魔するヤツは皆殺し! 悪役令嬢に成り上がれ! 『メガロザリア』第1巻の感想です。









・第1話
娼婦の母親に捨てられ、孤児院でも苛烈なイジメにあい、スリになったものの捕まって死刑を待つだけの身のロザリア。向かいの牢に入れられたメルディが『時を戻す』能力を持つ魔女だと知り、10年前に戻って自分をイジメていた相手に復讐を果たす。ここは、メルディの能力の制約の説明も兼ねているわけで『死んだ相手は時が戻っても死んだまま』というのはともかく『一度戻したところよりも前の時間には戻れない』というのが、今後のポイントになっていきそう。メルディは、ロザリアと出会う前にいつからいつまで時を戻したことがあるのか? それから幕間のページで、各話で犠牲になった人の肖像画が描かれるのは上手い演出。

・第2話
伯爵夫人の養女になったロザリアは、裕福な暮らしを満喫していた(メルディは侍女)。しかし、前の時間軸で義母が病死していたことを思い出し、不安に襲われるが……。しかし、今回ぶつかった侍女を殺したのにはドン引きしてしまった。前回は、まだスッキリとする部分もあったけど……。メルディの魔法を『人生のやり直し』ではなく『完全犯罪できる魔法』と認識するのもヤバいし、黒髪&黒ドレス(くわえてダガーを装備)で悪役令嬢としての装備が整った感じ。それから、1コマだけ描かれたメルディの母親(と思われる魔女)のことも気になる。

・第3話
肖像画を描いてもらうことになるロザリア。しかし、その画家が魔女の話をしたり、孤児院に取材に行ったという話を聞いたロザリアは……。多少、軽口が過ぎたとはいえ、今回は完全にロザリアの被害妄想が暴走した感じ。そのせいで大きなしっぺ返しを喰らうことにもなるし。今後も、このあたりのアンガーマネジメントをしっかりしていないと、悪役令嬢への道は遠そう。そして、アルバート王子の妃を目指すという最終目標も提示される。直前まで号泣していたのに、ラストのコマで「他の令嬢が死ねばいいのよ」と開き直れるロザリアの躁鬱具合がおそろしい。

・第4話
ロザリアは、ほかの王子の嫁候補であるミランダ嬢に会いに行く。もちろん、友好を深めるためではなく、ブッ殺すために。しかし、ミランダの兄が変態クズ野郎だったために、予想外のピンチに追い込まれることに。精神的には悪魔のような図太さは待っているが、ミランダはあくまでもか弱い女性。自分より強い存在を魔法を利用して排除しようと思っても、それは簡単ではないということか。あと細かいところとして、この作品に出てくるトイレが汚いボットン便所なのは、地味に高ポイントだと思う。衛生観念が中世。

・第5話
第1話と第4話のラスト、第3話の画家の話に出ていた、パメラが本格登場。考魔会という秘密結社に属する彼女は、見習いのエミリ、剣士のカティアと一緒に魔女がらみの事件を調査していた。そして、ミランダの不審死について調べようとする。この3人のキャラクターというか、やり取りのバランスが絶妙だと思う。ボケ、天然ボケ、ツッコミ(不憫)みたいな。そして、天才的な推理力を持つパメラは、ロザリアの周囲に魔女がいることを見抜いてしまう。このパメラたちの調査の手から逃れることができるか?というのが、今後の大きな課題ということか。











個人的には、パメラ組のほうに肩入れしてしまいそう。彼女たちのスピンオフとか読んでみたい。












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  1. 2023/03/05(日) 13:41:17|
  2. そのほかの漫画
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最近買ったマンガの感想 2022冬②

ここ半年で買ったマンガの感想を、まとめて書いていきたいと思います。通算7回目です。




・令和のダラさん/ともつか治臣/KADOKAWA
各話の前半は、大蛇退治や姉妹巫女間の嫉妬など陰湿な田舎ホラー。後半は前半の展開から誕生した祟り神と、胆力のスゴイきょうだいを中心とした人外コメディという驚異の二段構成。主人公?のダラさんはじめ、作者が好きであろうキャラしか描いていないという潔い姿勢。


・クジャクのダンス、誰が見た?/浅見理都/講談社
元警察官の父親が殺害され、かつて逮捕した男の息子が捕まる。しかし、娘が受け取った父親からの手紙によって、事件自体に疑問が投げかけられる。設定が素晴らしくグイグイと引き込まれ、これからどんなふうにストーリーが展開していくのか読めない。


・スカライティ/日々曜/小学館
数少ない生き残りの人類を捜し、荒廃した世界を旅するロボットの少年。その目的は……。設定はちょっと物騒だけど、基本的には、ハートウォーミング系日常オムニバス。個人的には、第4話の見開きでサックスの練習につき合うシーンが好き。


・ドミナント/五十嵐純/KADOKAWA
高校生活の出だしにつまづいてしまった主人公。帰り道の途中に迷い込んだ洋館で出会った“先輩”にギターを教わる、青春音楽ストーリー。だと思っていたのに……。4話の見開き前後の流れが爽やかでまぶしかっただけに、その背後にあるドロッとした重苦しい空気に圧し潰されそうになる。


・ルリドラゴン/眞藤雅興/集英社
ある朝、頭に角が生えてしまったルリ。ドラゴンとのハーフと知った後でも、普通に学校に通う。やっぱり、ルリよりも周囲の人物のアレコレが作品の肝なんだなと思う。母親やユカ、距離が近づいた子も、拒否感を示した子も、それはそれで間違ってはいないわけで……という描き方が良い。


・リバイアサン/黒井白/集英社
修学旅行生を乗せた宇宙船が航行不可能に。救助の望みはなく、生き残るのはコールドスリープに入れる1人だけ……。フランスで先行連載されているだけあって画力が高いし、後年宇宙船を発見した盗掘屋たちが航海日誌を見て、当時の状況を振り返るという構成も面白い。


・月出づる街の人々/酢豚ゆうき/双葉社
透明人間や狼男など様々なモンスターたちが暮らす街を舞台にした、日常オムニバス。メデューサと髪の蛇と友人の透明人間少女の絆を描いた3話が出色の出来。こういうタイプの話は、無条件に泣けてしまう。ナーガの娘との話も良かったし、メデューサの堀川さんを推していきたい。


・女騎士とケモミミの子/たーぼえんじん/新潮社
女騎士オリビアと、ケモミミっ子のノアの日常もの。わんぱくなノアの頑張りだったり、オリビアのクールな甘やかしっぷりだったり基本的にホッコリ系なのに、ときおり登場するクリーチャーのデザインのガチっぷりが、いいアクセントになっていると思う。個人的には、5話に登場したヤツが好き。


・境界のエンドフィール/近藤たかし アントンシク/集英社
ある事情で刑事を辞め理学療法士に転身した主人公のところに、追っていた容疑者が患者として運び込まれてくる。メインの事件の行方のほかにも、主人公の成長と恋愛、容疑者は幽体離脱状態だったり、面白いけど様々な要素を盛り込みすぎているような気もする。


・ようきなやつら/岡田索雲/双葉社
コミュニケーションだったり出自に関わることだったり、現代的なテーマを様々な妖怪を主人公にして描くオムニバス。個人的に好きなエピソードは『峯落』。見開きのラッシュの迫力が凄まじい。描き下ろしの表題作の雰囲気が良いので、この設定で連載してほしい。


・ブレス/園山ゆきの/講談社
自分を押し殺し、やりたいことを隠してきた高校生2人が出会い、それぞれメイクアップアーティストとモデルを目指すことに。第1話の完成度が半端なく高いし、第3話でタイトルを回収するという構成もカッコよすぎる。ブルーピリオドのような、文科系スポコンものとして大きなポテンシャルがある。


・さよなら絵梨/藤本タツキ/集英社
ほぼ全編にわたって同じコマ割りが続くのに、まったく単調さを感じさせないのは流石。地の出来事なのか、作中で撮っている映画の中の出来事なのか分かりにくい構成も上手い。妻の助けにも、息子の支えにもなれなかった父親になんとなく感情移入してしまった。












テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2022/11/29(火) 18:12:04|
  2. 新刊感想まとめ
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ブランクスペース 第3巻の感想






完結となる、ブランクスペース第3巻の感想です。







・#11 見えない
『透明な犬』と遭遇してしまったショーコとスイ。このピンチをテツヤが救う。なんとなくテツヤは“彼氏役”のために生み出された存在で、スイのことを気遣ったり喜ぶことを言うだけしかできないと思っていただけに、透明な犬に対し真面目な問いかけをしていることに意表を突かれてしまった。ここまでしっかりとした知能を持った人間だったのか。いっぽう、高熱を出したスイを病院に送ったあと、ショーコは現場に戻る。「目の前に無数の透明人間の死体が転がっているかも」という想像のすぐ後に「横でカサが浮いていたらエスパーと思われる」と言うギャップが、ショーコの魅力だと思う。

・#12 撃つべきもの
『透明な銃』を作ったスイは、テツヤ(鉄パイプ装備)といっしょに街へ。そこで、同じように対透明な犬用の装備で身を固めた(醤油に対する圧倒的な信頼感!)ショーコを見つける。テツヤをショーコのほうに行かせたあと、草むらを動く陰にむけて銃口を向けるが……。ここで、スイの中でなにかがプツリと切れてしまったか。すべてを終わりにしようと考える。跡をつけてきたテツヤに鋭くショーコが気づくが、これは後々の展開を考えるとショーコにもそういう才能があったってことでいいのかな? それから、たまたま会った友人が去りぎわに言った「がんばれ21世紀枠ー!」が面白すぎる。

・#13 飢えたるもの
#5で斧を落とした森で、覚悟を決め地面に横たわるスイ。それを受けて透明な犬は、自らの役割をハッキリと認識する。と同時に時田たちや今給黎さんなど、空白に関係している人物たちが異変を感じる流れが良い。バラバラだった物語の歯車がガチッとハマり、ここからクライマックスに突入したというようなムードで、がぜん盛り上がってくる。巨大化し2足歩行になった透明な犬に追われたスイたちは、公園の遊具の下に身を隠す。なんとかショーコだけは逃がすが、状況は厳しいまま……。

・#14 空白たち
イチコや今給黎さんなど、異変を感じた人たちが動き出す。特に、自分を生み出した中道ゴロウと別れるイチコの見開きが印象的。右ページの黒塗りの部分がゴロウが座っているイスで、左ページの文字のない部分が走り出したイチコといういことか。そして、ショーコは曲がり角でイチコとぶつかってしまう。ショーコの「ホァ⁉」というリアクションも面白いが、イチコの状況判断の早さもなかなかのもの。そして、スイは自らが犠牲となってでも、透明な犬を倒そうと考えるのだが……。

・#15 あらゆる曲がり角で
スイのピンチを、メカ・キリンに乗った今給黎さんが救う。そして、援軍は他にも……。魔法少女や宇宙飛行士など、空白の存在がこんなにもいたというのも驚きだが、ショーコは彼らと曲がり角のたびにぶつかっていたのか? しかし、透明な犬の強さは圧倒的。今給黎さんたちが夢の世界にフッ飛ばされてしまう。ここでショーコが出会ったのが、#2のときにちょっとだけ登場した星ロボットというのも上手い演出(その前の白い犬とかも)。さらに、空白たちと合体する。裸のオッサンが頭部を担当しているっぽいけど、パワーアップになっているのか?

・#16 犬も星も
合体したメカ・キリン星ロボEXは、透明な犬をワンパンKO! 街に被害を出さないように夢の世界に連れていくことになる。と同時に、空白の存在たちもこっちに戻ってこれなくなるわけで……。やはり、スイとテツヤの別れのシーンが切なすぎる。犬に名前をつけてあげてほしいというのも、2人の子供を託すみたいで何だか泣けてくる。それから、魔法少女によって空白の存在が何なのかということが語られる。この場所に来なかった空白も何体かいたのかもしれない。

・#17 空白の街
石川啄木など、様々な文豪の一説を引用しながらのエピローグ。スイがショーコと初めて会ったときに借りたカサをまた持っているというのが良い。前向きな夢も語っているし明言はされていないが、この感じだとイジメの問題もクリアされていそう。そして、なんといってもエンディングの7ページが素晴らしすぎる。見開きで『空白の街』が広がっていく演出に鳥肌が立つ。













全3巻でスッキリとまとまった名作。熊倉先生の次回作にも期待したいです。














テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2022/09/30(金) 18:17:29|
  2. ブランクスペース
  3. | コメント:0

ゴールデンカムイ 第31巻の感想







ゴールデンカムイ、大団円の第31巻の感想です。表紙は“不死身の”杉元佐一さんです。








・第303話 暴走列車
運転士も死亡し、もはや止まることもできない列車内での死闘。牛山vs月島、土方vs鯉戸、そして鶴見vs尾形というマッチアップ。しかし、あらためてみると、杉元の顔のダメージはけっこう大きそう。耳やホホのダメージは、思いのほか大きなものになりそう。

・第304話 歴史
鶴見中尉との会話で、尾形の狙いが『自分が第七師団長となり、様々な価値観をぶっ壊すこと』だと明らかに。尾形は、鯉登少尉のような熱烈な鶴見中尉のシンパというわけではないと思っていたけど、実際はイチバンこじらせていたわけか。そして、ほか2つのマッチアップでは、どちらも第七師団側が苦戦。相手が不敗の怪物と最後のサムライだからな。

・第305話 迷い
土方の言葉で、心の底にあった迷いを振り払った鯉登少尉。さらに月島も正面から挑んでは勝てない相手に、なりふり構わず手投げ弾を使う。まだまだ列車内の激戦が終わりそうもないというこのタイミングで、作中最強生物が乱入してくる。「ゴールデンカムイの最終決戦、俺がいなきゃ始まらないだろ!」とばかりに脈絡もなく乱入してくるヒグマが最高。

・第306話 特攻
前門の杉元、後門のヒグマ状態の第七師団一般兵もかわいそうだが、本筋は、月島&鯉戸の関係性。鯉戸少尉が1対1で土方に勝利したのは予想外だった。刀が折れたのが功を奏す形になるとは。そして、牛山に対して特攻を仕掛ける月島。ここは、それぞれの優しさが招いた皮肉な結果という形か。

・第307話 ちんぽ先生
身を挺して爆発から守った牛山。左腕を失う大きなダメージを負いながらも、アシパさんを気づかう姿に涙を禁じ得ない。実質的な人間最強キャラなので、こういう形での退場となってしまったか。この混乱に乗じて権利書の入った矢筒を奪った月島は鶴見中尉へ渡す。そのまま後を追おうとするが、これを鯉戸少尉が止める。ここのやりとり、人間関係が複雑に絡み合っていて、こっちの感情も締めつけられる感じ。そして、頭部を負傷した土方は、記憶が新選組時代に戻ってしまう。

・第308話 似た者同士
クマを追い返した土方は、ここで力尽きる。若き日の自分を重ね合わせた杉元に自分の刀を託す。敵対したこともあったけど、最後の局面にきて、この2人のあいだには師弟関係のようなものが生まれていたのかな。そして、最期を看取った永倉の辛さも心中察するにあまりがある。2度も置いて行かれることになろうとは。そして、ヒグマに対して言った尾形の言葉をそのままの形でお返しする杉元の一撃がキマりすぎている。

・第309話 血濡れ事
杉元vs尾形の殺し合い。そこにヒグマの横やりが入り杉元が劣勢になるなか、アシパさんが放った毒矢が尾形の腹を……。このときにアシパさんの目から輝きが消えているので、なんとも言えない苦しい気持ちになる。「杉元佐一と一緒に地獄に落ちる覚悟だ」と決意の言葉を添えられても……。身体の輪郭が液状になるのは、悲しみの表現で使われていたけど、ここでは別の意味だよな……。

・第310話 祝福
毒で錯乱しているのか、様々な時系列の尾形百之助が語りかけてくる。それを受けて、尾形自身が最後に取った行動は……。このタイミングで勇作殿の顔がオープンになるのも意外だったし、義眼となったことで左右の顔つきが違うのを、こういう形で使ってくるとは。そして、杉元たちは機関室にいる鶴見中尉と対峙する。これがラストバトルとなるのか?

・第311話 アシパの選択
アシパさんは、ひとりで鶴見中尉と決着をつけようとするが、杉元が出した答えは……。「ひとりで行かせるかよ!! 相棒だろ」は最高のセリフ。映画だったら、ここで主題歌がかかること間違いなし。そして機関車での戦闘。もう、このレベルだと普通に銃弾をかわせている。しかし、その前には暴走状態の機関車を止めないといけない。白石に渡した乾燥ハンペンだったり、ギャグ要素もこの巻では貴重。

・第312話 分け前
杉元vs鶴見中尉の一騎打ち。隙をついて隠した銃に手を伸ばす鶴見中尉だが、杉元も奥の手を隠していた。犬童戦のときの土方と同じような“分け前”の使い方も見事だった。そして、白石と谷垣が機関車を追う一方、永倉は土方の死体を抱え列車を降りようとする。歴史的に名前が残っているキャラの処遇は、他のキャラと同じというわけにはいかないか。

・第313話 終着
杉元の一太刀を浴びた鶴見中尉。なんとか矢筒を確保しようとするが、目線は『指の骨』のほうへ……。仮面がはがれた表情が何とも言えない。そして、アシパさんをかばった杉元が胸を貫かれてしまう。いつもの決め台詞を言うものの、そのまま汽車は車庫を突き抜け海へと落下してしまう。その流れでの、釣見中尉と杉元の攻防は、熾烈の一言。究極まで来ると、もう本能的な攻撃になるんだな。

・第314話 大団円
舞台は六か月後の東京へ。花屋を営む梅ちゃんのところに現れたのは……。241ページの「故郷に帰ろう」という杉元の言葉と、アシパさんの笑顔にいろいろと救われる。各キャラのその後がどうなったかがダイジェストで描かれるのも、最終回らしくてとても良かった。そして白石はどうしたかというと……。実に“らしい”オチという感じ。さらに描き下ろしで壮大な計画も描かれいるし「やってくれたなぁ白石ッ!」という感じ。












ゴールデンカムイ完結。見事なフィナーレでした。














テーマ:漫画の感想 - ジャンル:アニメ・コミック

  1. 2022/07/21(木) 19:37:25|
  2. ゴールデンカムイ
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